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“良品”選ぶ検査ソフト開発

オービット(京都市南区)
外観検査ソフトの性能を出荷前に確認する社員ら(京都市南区)

 ものづくりの現場で、品質の安定化や経費削減を図るため外観検査の自動化の需要は大きい。一般的な外観検査とは逆の「良品を選別する」という発想に基づくソフトウエアで検査業界での地位向上を狙う。

 仮に良品を「○」、不良品を「×」、良品と不良品の間で出荷できる製品を「△」、できない製品を「▲」とする。一般的な外観検査装置のソフトは「×」を定義して除去する。残った「○△▲」から目視で「▲」を取り除く。オービットのソフトは、定義した「○」に合う製品を選んで出荷する。残った「△▲×」から目視で「△」だけを選んで出荷する。

 山田宏和社長は「製品が100個あったとして、『NG』がないか全部を注意深く探す作業に対し、10個の中からいい物を探す作業はものすごく軽くなる」と、2004年に発表したソフトの利点を強調する。

 技術的にはまず、生産ラインで100個程度の製品画像を撮り、統計処理で良品の範囲を設定する。設定も簡単という。一般的な外観検査装置ではロット変更ごとに必要な微調整の手間が省けるのも特徴で、良品率が落ちてくるとボタン操作で統計を取り直す。

 現在、半導体や自動車部品、医療関連部品、米菓などさまざまな分野で採用されている。同一工場内で導入を増やしている企業もあるといい、「目視検査に携わる人が省けてコスト削減につながる。市場クレームや不良品出荷がゼロになったという話は多い」(山田社長)。11年6月期の売上高は9千万円で累損がなくなった。

 12年6月期は売上高1億5千万円を目標に掲げた。不良品を探す他社の検査ソフトからの置き換えを図るほか、12月には良品を探す自社ソフトを組み込んだ検査設備の製品化を目指している。従業員は現在、パートを含めて4人だが事業拡大に向け、来春は新卒3人を加える計画だ。

 さらなる事業拡大策として、山田社長は検査業務の請負を視野に入れる。「安くて確実に検査できる技術を持っている。まだまだ夢だが、やろうと思えばできる」

山田宏和(やまだ・ひろかず)社長

 京都大大学院工学研究科を修了後、オムロンなどを経て1999年に京都市西京区でオービットを設立。2008年に南区の市創業支援工場へ移転。岐阜県出身。43歳。

【2011.09.05掲載】