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超高精細加工に磨き

ベノック(京都市南区)
3次元の設計図を基に機械をプログラミングし、ミクロン単位の研削や切削、放電加工をする(京都市南区・ベノック)

 3次元(3D)データを基にした超高精細加工を武器に、携帯電話やパソコンのコネクター、センサーのレンズなどの金型を製造する。金属などに最小で幅0・04ミリの溝を削ることができ、幅広いメーカーから受注している。

 奥田潤社長(44)はもともと京都市内の地場証券会社に勤めていた。日本の強みが電子部品にあると考え、電子部品の専門商社に転職。現場を回って業界を学んだ。1999年にゼロ金利になったタイミングで「人生でチャンスはこの一瞬しかない」と加工機を購入。その年の10月に起業した。

 まったく機械を触ったことはなかったが、マニュアルを片手に試行錯誤を重ねた。特に研削は、集中力と場数を踏むことで技術を習得した。同時に、それまで培った営業力で得意先を開拓した。経歴は異色だが「ものづくりにかける思いはほかの経営者に負けない」と熱い。

 高精細加工の方法は主に研削、放電、切削の3種類がある。技術向上に伴って、当初4台だった加工機は42台に増え、2007年には第2工場を建てた。しかし、加工機はあくまで汎用品が中心。「特注品は購入できない。ある機械で勝負する」と、加工部の刃物や油の組み合わせを工夫することで他社にない製品を作る。売上高は11年6月に2億5千万円となり、来期は3億円を目指す。

 大手計測機器メーカーに質量センサーの試作から量産機のプログラム作成まで委託されたのが「一番の功績」と自負する。薬などを0・01ミリグラム単位で量るセンサーで、装置1台ずつに合わせたプログラミングをした。

 「品質は精度と美観を兼ね備える」との考えから、表面加工にも取り組む。つるりとした表面や、逆に製品がはがれやすいようぶつぶつにしたりと、金型の表面の質感は重要な要素だ。寸法だけではいずれ海外に負けるとの思いもある。技術を培うため2年前にはゴルフのパター製造を始めた。奥田社長は「超高精細加工でいずれ世界に打って出たい」と大きな目標を打ち立てている。

奥田潤(おくだ・じゅん)社長

 大阪芸術大卒。証券会社、電子部品商社の勤務を経て、1999年に自宅1階を改装してベノックを創業した。2006年に株式会社化。京都市北区出身。44歳。

【2011.11.21掲載】