京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ベンチャーGOGO
インデックス

細胞の長期保存液、開発

バイオベルデ(京都市南区)
細胞保存液を開発しているバイオベルデの研究拠点(京都市左京区・京都大再生医科学研究所)

 研究が進む再生医療にとって、人体から採取した細胞や生体組織の保存技術は重要な要素だ。目立ちにくい分野だが、最先端研究を支え、可能性を広げる。長期間の保存ができ、より安全性の高い保存液の開発、販売を手掛けている。

 大学発のベンチャーで、顧問を務める玄丞烋京都大准教授が緑茶に含まれるポリフェノールに細胞の増殖を抑制し、未凍結状態で保存できる特性があることを発見。2003年に科学技術振興機構のプレベンチャー事業採択を受けて事業化し、06年設立された。最初に発売したのがポリフェノールを加えた冷蔵保存液。皮膚や角膜などを、増殖機能を保ったまま2〜3カ月保存でき、1週間程度だった従来品から大幅に延ばした。

 細胞用の新たな凍結保存液の開発にも進んだ。食品添加物として使われているポリリジンなどで作り、従来品のように毒性のある有機化合物ジメチルスルホキシド(DMSO)を含まないため安全性が高いという。昨年発売したiPS(人工多能性幹)細胞用凍結保存液もDMSOを含まず、解凍後の細胞生存率を従来より2〜3倍高めたとしている。「DMSO入りが一般的となっている現状を変えたい」と山根正樹社長(56)は言葉に力を込める。

 年内の発売を目指しているのが、不妊治療用の受精卵の保存液だ。不妊に悩む人は多く、現在臨床評価を行っている。造血幹細胞が多量に含まれるさい帯(へその緒)血の保存液も開発中で、凍結時の結晶化を抑えて細胞へのダメージを減らす不凍活性成分によって超低温でなくても細胞生存率を高く維持でき、取り扱いが簡単になるという。

 現在、京都大再生医科学研究所(左京区)と、クリエイション・コア京都御車(上京区)を研究拠点とする。生産はメーカーに委託し、大学や企業に販売しており、再生医療研究が盛んな米国や中国など海外販売拡大にも力を入れる。創業から丸6年となる今年2月期は売上高約1千万円を見込み、来期は倍増させる計画だ。

山根 正樹(やまね・まさき)社長

 島根大理学部卒業後、商社や化学繊維関係の団体勤務などを経て、2010年11月から現職。島根県出身。56歳。

【2012.01.30掲載】