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一人で仕入れ、製造、営業

ちりめん山椒製造販売「丹の実」経営 杉本かね子さん
ちりめん山椒製造販売「丹の実」経営 杉本かね子さん
 地元・丹波産のサンショウの実を使ったこだわりの「ちりめん山椒」。二〇〇六年十二月に、ちりめん山椒の製造販売業を亀岡市の自宅で始めた。六十歳からの挑戦だった。
 「売り上げはまだごくわずか。仕入れと融資の返済ができるほどですが、頑張って利益が出るようにしたい」と意気込む。
 三十年近く、結婚式の装飾品を作る友人の仕事を手伝っていた。十年ほど前、自営業の夫(63)が大きな病気を患った。「年金はわずか。友人の手伝いはいつまで続けられるか分からない。年を取るほどパート先が見つけらず老後が不安になった」。家計を支えるために自分で商売を始めることを考えるようになった。
 親せきや友人に好評だった手作りのちりめん山椒の製造販売することを決めた。しかし、資金はもちろんどうやって商売を始めてよいのか知識もなかった。保健所に営業許可について話を聞きに行くと、専用の厨房(ちゅうぼう)や細かく規定された設備が必要で多額の資金がかかることが分かった。「鍋とガスがあれば商売できる」との軽い考えは砕かれた。
 途方にくれていた時、起業を目指す女性のネットワークづくりをするために京都府が開いていた交流会を知った。参加すると、主婦のほか元教師や薬剤師、アナウンサーなど多彩な職種の三十代から五十代の女性と出会い、情報交換を通して勇気づけられた。国民生活金融公庫で融資が受けられることも分かった。
 そこから話はとんとん拍子に進んだ。金融公庫から百七十万円の融資を受けて、自己資金を加えて四百万円ほどを用意できた。自宅庭先の約十平方メートルに厨房を建設した。
 最初は不良品を購入してしまうなど失敗を繰り返したが、次第に食材の目利きを学んだ。「ジャコが大きい」「辛い」。試食した友人の意見を参考にしながら研究を重ねて、納得できる味を作り上げた。製品を置いてくれる店も亀岡市や京都市で見つけ、東京にも常連ができるまでになった。
 食材の仕入れから調理、営業まですべて一人でこなす。「何も分からないところからの出発でしたが、ここまでやってこられたのも周囲の支えのおかげ。丹波地域の名物にしていきたい」と笑顔を見せる。

すぎもと・かねこ 10代から京都市内の繊維会社や呉服店で勤務し、31歳で結婚。1983年に京都市南区から亀岡市に転居する。夫と長女、長男との4人暮らし。趣味はガーデニングと着物の着付け。製品についての問い合わせは丹の実TEL0771(24)0075。亀岡市出身。62歳。

【2008年4月27日掲載】