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迷わず転身 リーダーに

JR東海の指導運転士 小林清恵さん
JR東海の指導運転士 小林清恵さん

 最高速度二百七十キロ。発着時刻は十五秒単位で決められている。乗客の命と一秒を守る責任の重圧からか、「悪夢」にうなされるベテランも少なくない。「列車が遅れたり、ブレーキを失敗したり。でも、こんな夢を見なくなったら自身の気持ちがゆるんでいる証し」と、柔和な笑顔を引き締める。
 現在は関西支社の大阪第二運輸所(大阪市東淀川区)勤務。新大阪−東京間の片道を一日一回運転する。例えば東京行きの乗務日は都内の車両基地で泊まり勤務に就き、翌日は新大阪まで乗るパターン。一泊二日の勤務を二回続け、休日をとる。車掌乗務も担当する。
 JR東海の女性運輸職「一期生」だ。女性の深夜就労を認める労働基準法改正などを受け、一九九七年から女性でも駅員や車掌になれる職種の採用が始まった。短大時代はホテル業界を志望していたが、「新幹線の車掌になれる。自分たちで職場を変えていける」と魅力を感じて就職した。入社後は京都駅に配属されたが、当時の職場は男性しかいなかったという。
 駅員勤務を経て九九年に車掌試験に合格し、東海道新幹線初の女性車掌としてデビュー。車掌長を目指して乗務キャリアを重ねていたが、新入社員の指導役を担当した六年後に転機が訪れる。男女問わずに活躍できる職場を見つめ直すうちに「新幹線業務を後輩に正しく伝えるには自分がやらないと」との思いが膨らんだ。車掌職から運転士に変更できる制度が社内に導入されたこともあり、迷わず転身した。「運転は機械任せと思われがちですが、技量も重要。今は決められたことを確実に行うように心掛けています。スムーズな停車を追求したい」と意欲を語る。
 夫も新幹線運転士。お互いに泊まり勤務があり、休日が合うのは月四回ほど。二人一緒に炊事や洗濯など家事をこなし、会えない時間の理解を深め合うようにしている。
 JR東海の女性運転士は現在二十七人。女性乗務員のリーダー的存在として後輩の相談役も務める。「責任が大きい分、やりがいを感じています。運転技能伝承など後進育成も努めたい。将来は駅に戻り、接客サービスができれば」と語る。

こばやし・きよえ 短大卒業後、1997年4月JR東海入社。京都駅に配属後、99年10月から新幹線車掌。2006年6月から現職。趣味は夫と一緒のゴルフやショッピング。京都府久御山町出身、同町在住。31歳。

【2008年6月22日掲載】