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“旬”をキャッチ 製品化

ユーシン精機社長 小谷眞由美さん
ユーシン精機社長 小谷眞由美さん

 個性派ぞろいの京都のハイテク企業の中で存在感を示す女性トップ。創業社長で亡き夫の後継者となって六年目。順調に業績を伸ばし、売上高は二百億円台を突破した。「創業者が開発担当、それ以外は私と役割分担し、男性女性を気にせずにやってきた。男の方はすぐ自分の奥さんと比較するので珍しいのでしょうけど」と淡々と語る。
 六月は欧州に計十六日間、七月上旬もシンガポールに約一週間それぞれ出張した。海外拠点は十四カ国二十八カ所。投資家向け説明や営業に国内外を飛び回り、来社した顧客の応対も欠かさない。昨年四月に京都経済同友会の副代表幹事となった。「年間の半分は本社に不在だが、私でお役に立つことがあれば。自然体で活動していきたい」と控えめに語る。
 プラスチック業界の取り出しロボット分野で国内トップを走る。「シェアは業界一位ですけど、とびきり首位でもない。景気は常に変動する。今は何が旬か、どこの地域が旬か。それをいち早くキャッチし、特化して専用の機械を開発し、世界に製品を送りたい」。景気に左右されない体質、無借金経営が信念だ。
 前社長の故小谷進氏とは創業前に知人を介して知り合った。結婚後は営業担当重役として二人三脚で社業を発展させてきたが、二〇〇二年十二月に転機が訪れる。夫が五十九歳で急逝し、経営の前面に立った。
 「社内の開発会議出席が増えたぐらい。社長になる前と変化はない。私がやるのは交渉や事業展開などの経営決断。社員が走れるように方向性をだすこと」と社長職にも気負いはない。「『できない』『無理だ』は出発点」「品質は社運を決める」。創業者のことばを大切に継承し、基本指針に掲げる。
 趣味の日本舞踊は芸名「藤間寿由」で舞う。三味線や琴など邦楽は玄人はだし。茶事もたしなむが知る人は少ない。「コツコツと(努力を)重ねるのは製造業も芸事も同じ。一日一日の積み上げが何よりも大切」と言う。八月十八日にはチャリティーで京都南座の舞台にも立つ。「五つの役、五変化の長唄に挑戦します」。陰でけいこに精進しつつ、三年後の売上高三百億円台を目指して経営でもしなやかに腕をふるう。

こたに・まゆみ 帝国女子大(現大阪国際大)卒。1973年ユーシン精機入社。取締役、副社長を経て2002年から現職。京都経済同友会副代表幹事のほか日本ロボット工業会理事、京都市産業科学技術推進委など公職も多数務める。61歳。

【2008年7月20日掲載】