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女性の思いくみプラン

チェルカトラベル社長 井上雪子さん
チェルカトラベル社長 井上雪子さん

 女性のための海外旅行を企画する会社を京都市中京区に立ち上げて二年近くなる。「海外を個人旅行したい女性は多いけれど、どうしても不安が先に立つ。そんな思いをくみ取って最適なプランを提案したい」と、女性の視点に立った旅行づくりを心がけてきた。
 依頼に来る女性は、旅行したい気持ちだけで目的地さえ未定ということもしばしば。メールや電話、面談でじっくり要望を聞きながら、約四十カ国を旅行した自身の経験と照らし合わせ、ぴったりの目的地を探し出して提案する。そんな姿勢は、イタリア語で「探す」という意味のある社名や、名刺に刷られた虫眼鏡にも表れている。
 仕事ぶりが口コミで評判を呼び、京都だけでなく東京や大阪などからも依頼が舞い込むようになった。「一度利用したお客は七、八割がリピーターになってくれる」と確かな手応えを感じている。
 とはいえ、原油高による航空運賃の高騰で海外への旅行客は全体的に減少する傾向にある。事業のもう一つの柱に、と始めたのが、生まれ育った京都の奥深い魅力を紹介する会員制の旅行プランだ。
 京町家での茶席体験や京都の家庭料理を学ぶ教室、知る人ぞ知る京都市北区の料理旅館での川床体験など、「特別な体験が好きな女性心理」をつかむプランで徐々に会員を増やしている。「現在二十人の会員を将来は三百人にまで増やしたい」と夢をふくらませる。
 今に至る原点は、高校生で短期留学した米国での体験という。「何もかもが刺激だった。添乗員になっていろんな国に行き、異文化にふれたいと思った」
 専門学校を卒業してJTBの出版子会社に入ったが、海外に出たい気持ちは抑えられず、ほどなく藤田観光の旅行子会社に移った。京都市中京区のホテルで挙式したカップルのハネムーンを手がけるうち、旅行企画や国際線チケットを手配するノウハウを身に着けた。
 結婚や出産による休職や夫との死別、再就職を経験しながらも、旅行の仕事を続けてきた。そのうち「自分のノウハウを生かしてオリジナルの旅行を組みたい」と起業を志すようになった。二人の息子も両親もそろって背中を押してくれた。
 女性の起業家を支援する京都市の事業「京おんな塾」で独立に必要な知識を学び、貯蓄からねん出した三百万円を資本金にして会社を起こした。仕事場は染色を営む実家の二階を改造して設けた。
 ブログ(日記風ホームページ)での情報発信や人脈づくりなどの地道な取り組みが実り、顧客は広がりつつある。「面白いプランや趣向を変えた提案で利用者を増やしたい」とさらなる飛躍を誓う。

いのうえ・ゆきこ 京都国際文化専門学校(現京都芸術デザイン専門学校)旅行学科卒。1989年にJTBの出版子会社に入社。退職後、複数の旅行会社を経て2006年10月にチェルカトラベルを設立。趣味は旅行。中学3年と中学1年の息子がいる。京都市出身。39歳。

【2008年7月27日掲載】