京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > MyウェイMyライフ
インデックス

精巧模型で商機広げる

さんけい社長 勝見文子さん
さんけい社長 勝見文子さん

 かやぶき民家や町家などの精巧模型やホビーグッズを並べた「モデルアート・ミュージアム」。専務だった昨年五月、京都市右京区の本社に開設した。毎月第三土曜の一般公開も自身のアイデアだ。写真や印刷物では伝わりにくいと感じていた。「『ほんまもん』をお客さまや地域の人に見ていただきたかった。現物だとみなさんの反応が全然違う」とビジネスへの手応えを語る。
 博物館や資料館などの多種多様な精巧模型を制作し、展示工事を請け負う。年商約一億円、社員十二人の小所帯だが、顧客は北海道から沖縄まで全国に及ぶ。社長になって四カ月余り。「日に日に責任感が増してきた。判断や決断が間違っていたらと不安もある」。こう語りつつ、「ファミリーな会社なので社員のコミュニケーションが強み。みんなで相談してやっていきたい」と、つぶらな瞳で前を見据えた。
 創業者の健二会長(76)の二女。二十代後半までは空間設計や空間づくり関係のデザイナーを目指し、「家業のことは全く頭になかった」。だが制作管理を担当する要の社員が辞め、父の困っている姿を見て「手伝おう」と入社を決めた。
 最初は博物館などの内装工事を担当。作業服にヘルメット姿で現場へ。当時はバブル経済の余波で仕事も多く、全国各地を飛び回った。「ビスやくぎに種類があるなんて分からない。技術やノウハウを知り尽くそうと必死でした」と振り返る。「いずれは後継ぎに」と言われ続け、いつしか心の準備もできていった。
 創業四十五年目の今年、社長に就任。早速、文化財や古建築模型を主力とする事業コンセプトを見直し、「モデルアート・テクノロジー」を掲げた。町家や鉄道模型といったホビー制作キット、企業向けの創業社屋復元模型、企業ミュージアム・商業施設のディスプレーなど仕事の幅を広げる。「博物館用模型で培った技術をいかに多方面に活用できるか。単に作るだけではなく、アイデアや企画を仕掛けていきたい」と熱く語る。
 土曜日も働く。「仕事人間」だった父の背中を見て育った。「今は子どもと接している時間が一番の幸せ」。小学三年になる一人娘の話になると、やさしい母の顔になった。

 かつみ・あやこ 京都市内のインテリアデザイン専門学校卒。京都工芸繊維大で聴講生として2年間、建築学などを学ぶ。1991年さんけい入社。展示部部長や専務などを経て今年5月から現職。京都市上京区出身。46歳。

【2008年9月07日掲載】