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職人の技 好奇心で習得

ロマンライフ 製造部シェフ 浅井利絵さん
ロマンライフ 製造部シェフ 浅井利絵さん

 ケーキ店「マールブランシュ」を展開するロマンライフ(京都市山科区)の本社工場。白衣にマスクをつけた従業員が立ち働くなか、ひときわ鮮やかな手つきで果物をカットし、ケーキを飾り付けていく。「細かい作業が多いし、力仕事も結構あるんです」と苦労を口にしつつも、帽子とマスクの間からかいま見える表情は屈託がない。
 自分の作業をこなす一方で、職場に十六人いる後輩たちの仕事ぶりにも目を配り、声をかける。「ここの作業は注意して」「この仕事はいつ終わるの?」。同じ作業でも、人によって仕事のペースやミスの傾向は違うので「自分のやり方を押しつけないのが大事」。後輩それぞれの癖をよくつかんで指導することを心がけているという。
 同社のケーキは工場での製造ながら手作り感を大事にしている。早く、おいしく、丁寧に、が鉄則だ。しかもラインアップは季節ごとに入れ替わる。マーケティング部が持ち込んでくる新商品にはレシピこそあるが、そのままの手順では量をさばけないことも多い。上司と一緒に商品ごとの生産の段取りを考えるのも仕事だ。
 八年間にわたる製造部での経験や勘を基に、作業の手順や材料の混ぜ合わせ方などに工夫を凝らし、生産計画を練り上げる。「新商品を考えた人の思いを大切にしつつ、効率よく作るのは大変だけど、どうしたらうまくいくかをあれこれ考えるのは楽しい」と、言葉に充実感をにじませる。
 地元の高校を卒業後、あこがれのケーキ職人を目指して入社した。二年半近くを焼き菓子担当で過ごした後、ケーキなどの生菓子を作る担当に移った。
 ちょうど会社が積極出店で業容を広げ始めた時期。目が回るくらいの忙しさで、「いちから丁寧に作業を教えてもらう余裕はなかった」。飾り付けや果物のカットなど、覚えることは多かったが、「面白そう、やってみたい」という持ち前の好奇心で習得し、職場に欠かせない存在となった。
 今年八月には念願のシェフになった。後輩を束ねる立場になっても、ケーキ作りへのこだわりは変わらない。「挑戦したいケーキがまだまだたくさんある。いつまでも作る仕事を続けたい」

あさい・りえ 京都府立東稜高卒。2000年にロマンライフに入社。製造部で焼き菓子担当の「ビスキュイ」、生菓子担当の「パティスリー」を務めた。今年8月から製造部シェフ。趣味は休日のドライブ。京都市山科区在住。26歳。

【2008年10月19日掲載】