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「職人技」生むソフトを

大日本スクリーン製造 画像・検査ソフト技術部 主任 杉本美穂さん
大日本スクリーン製造 画像・検査ソフト技術部 主任 杉本美穂さん

 カチャカチャ。キーボードをたたく音が響く。周囲の開発エンジニアたちも集中した表情でディスプレーに向かう。張りつめた空気のオフィス。真剣なまなざしも画面から離れると穏やかに変わる。
 「ソフトウエア開発は例えるなら、機械の腕を使いこなす職人の頭脳を作っています」。半導体や液晶パネルなどの製造装置専用ソフトを開発するのが仕事だ。半導体などの製造装置には、精密さと同時に均質性が最も求められる。だが、どんなに精密な機械でも、実際には各工程で微妙な精度のズレが各製品に生じることもある。ソフトはそのズレに加工を微調整する指示を出す。
 開発のほとんどがパソコンと向き合っての作業だ。ソフトの設計図を画面上に描き、それに従ってプログラミング、つまり製造装置への命令文を連ねていく。
 山場は、バグ(プログラムの不具合)修正だ。製造装置とモニターとのにらめっこ。焦るほどうまくいかない。根気のいる作業だが、子育てを経験してから落ち着いてできるようになった。「泣く子をあやすのと一緒。空腹か眠いのか、と順に原因をつぶせばバグ修正は大丈夫」と話す。
 入社二年目から製造装置のソフト開発に携わり、年ごとに「ソフト開発もものづくり」との思いを強めている。「誰かが使ってくれているという達成感がある」
 ただ、一昨年に妊娠したときは退職を考えた。当時はエンジニア十人の大きなプロジェクトでデータベース部門のリーダーを務めていた。子育てをしながら責任ある仕事が続けられるかと悩んだが、上司に「後輩の女性社員のためにも育児時短制度で仕事を続けては」と背中を押された。
 長男を出産し、今年三月に復帰してからは一日六時間の時短勤務で仕事と子育ての両立に励んでいる。「まさに案ずるより産むが易しでした」
 復帰後も、限られた勤務時間内でミスが少なく、優れた仕事をこなすと職場での信頼は厚い。ソフト開発畑で未来の女性管理職第一号へ期待がかかるが、当面は「育児中だから、できることに全力を尽くす」。

すぎもと・みほ 鹿児島工業高専卒。1997年、ソフトウエア開発エンジニアとして大日本スクリーン製造入社。マルチメディア推進部、技術研究所を経て、2004年から半導体製造装置のソフトウエア開発に携わる。鹿児島県出身。31歳。

【2008年12月14日掲載】