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肌に優しいタオル発明

あわみん本舗代表 岡本凉子さん 
あわみん本舗代表 岡本凉子さん

 湯でぬらしたタオルにせっけんをつけて泡立てると、メレンゲのようなきめ細かい泡が盛り上がる。「ゴシゴシこすらず泡で体を洗えば敏感肌も痛めずツルッとなる」。実演するうち主婦から起業家の顔になる。自ら発明して特許取得した浴用タオルの売り口上に力がこもる。「お金はなくとも、アイデアとがんばりで特許を取れる」
 認められた特許は、柔らかいナイロン生地の中央部分約二十五センチ四方の三重構造メッシュ。ひだをつけて立体的にメッシュを縫いつけた。
 従来の浴用タオルにない細かい泡立ちの良さが人気雑貨店「東急ハンズ」に認められ、一月から大阪・心斎橋や東京・渋谷など各店で販売されている。一枚千五百円で、わずか一カ月で約五百枚売り上げている。
 子ども服メーカーを出産退職した後、子育てをしながら個人学習塾を十六年間経営したが、子どもが学校を出た五年前、「もっと社会とつながり、世界を広げたい」と塾を畳んで事業を志した。
 以前から発明には関心があった。まだ子どもが幼いころ、洗面所の下に体重計を収納するアイデアを思いつき、発明雑誌で年間大賞に輝いたこともある。眠っていた発明の夢がよみがえり、知人や自身もナイロンタオルによる肌荒れに悩んでいたことから肌に優しいタオルの考案を決心した。
 新しい生地を探し、実際に体を洗って何度も試した。背中をしっかりこするためにタオル中央を三重構造に作ると、泡立ちやすい意外な効果を発見。こすりつけなくても泡で体を洗えることに気がついた。試作品を使った知人の高い評価に自信をつけて特許を申請、二〇〇六年に登録された。
 次のハードルは量産化。理想的な生地は見つかったが、メーカーは発明に興味を示してくれず、他社も「高くて売れない」と断られた。幸い、東急ハンズに認められたことで生地メーカーが製造を引き受けてくれた。
 当初はすぐに売れると楽観していたが、物を売る大変さを改めて実感している。「泡立ちを見せないと分かってもらえない」。できるだけ店頭に立って実演し、販売のコツを勉強中だ。まだ道半ばだが「社会とつながる」充実感にあふれている。次の特許アイデアも浮かんでいて事業意欲は衰えない。

おかもと・りょうこ 福岡県立女子大家政学科卒。1974年に子ども服メーカーに入り、品質管理を担当。出産のため79年に退職後、京都に移り、88年から16年間、学習塾を経営。2003年に全国発明婦人協会に入会。福岡県出身。京都府大山崎町在住。57歳。

【2009年2月15日掲載】