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ワインの奥深い世界発信

京都ホテルオークラ レストランサービス課ソムリエール 甲斐章子さん
京都ホテルオークラ レストランサービス課ソムリエール 甲斐章子さん

 念願のソムリエとして働き始めて四カ月。鴨川や東山三十六峰をのぞむ京都ホテルオークラの最上階レストランで、顧客にお勧めのワインを説明する笑顔に初々しさがのぞく。「作り手の思いが詰まったワインは、一本一本の味が微妙に違う。奥深い世界を多くの人たちに伝えたい」
 大学を卒業して間もないころ、香りの効能に興味があり、アロマセラピーの勉強をしていた時期にバーで飲んだワインの香りに魅せられ、ソムリエになることを夢見た。
 新卒でないため、アルバイトとして2年ほどホテル内のレストランで働き、接客のイロハを学んだ。その努力が認められ、二〇〇六年に正社員に登用された。ソムリエ資格を取得して間もない昨年十月、同ホテルのレストランサービス課ソムリエールに配属された。ホテルに五人いるソムリエでは唯一の女性。「責任あるポストを任される女性も多く、とても働きやすい環境」と話す。
 研修期間を経て、今年一月にソムリエとして一人立ちした。ホテル内の三つのレストランを日替わりで担当する。
 最近、ワインの選択を「お任せ」してくれる常連客も出てきた。ホテルで毎月開いているワイン講座のテキスト作成にも加わっており、受講生から「新たな飲み方を発見した」と喜ばれた。「思いが伝わったのかなとうれしくなる」と笑う。
 失敗もある。漠然とした注文で、こちらが思い描いたイメージと違いがあったのか、何も言わずにグラスに残されたことも。「お客様が何を求め、その場にどんなワインが適しているのか。場の雰囲気や何気ない会話の中からつかみ取らなければならない。難しいけれど、そこにやりがいを感じる」
 顧客には外国人の観光客も多い。英会話の研修を受け、個人的にもフランス語を学んでいたこともあって日常会話はこなせるが、ワインの専門用語となると十分でなく、「目下の課題」だ。
 仕事を離れてワインを飲むのももちろん大好き。休日もレストランや酒販店に足を運び、情報収集を怠らない。「長い伝統を学ばなければならない一方で、今、どんな味が好まれているのかといった時代の変化にも対応しないといけない」。向上心を忘れない。

かい・あきこ 奈良県香芝市出身。立命館大産業社会学部卒。2006年に京都ホテルオークラに入り、昨年10月からソムリエとして働く。息抜きには自転車で公園や鴨川に出かけて散策する。京都市中京区在住。29歳。

【2009年2月22日掲載】