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妊産婦の頼れる支えに

キュアリンクケア代表 谷口知子さん
キュアリンクケア代表 谷口知子さん

 産前産後にわたり妊産婦と家族をサポートするケア事業を手掛ける。「妊産婦の声にならない言葉を聞き、悩みを解きほぐす。不安が和らげば笑顔を取り戻してくれる」
 妊産婦は、胎児や乳児の成長や育児方法などで悩みや不安が多い。支援サービスは看護師と保健師、助産師がチームを組んで妊娠六カ月から約一年間、訪問の面談や電話、メールでこまめに相談に乗る。
 産前から信頼関係を築くのがポイントで、「産婦が精神的に最も苦しむ産後二週間のヤマ場に安心して頼れる支えが必要」。夫をはじめ家族全員を安心させることにもつながる。料金は月額約三万円。育児の苦労を知る産婦の母親から問い合わせが多いという。
 起業前、看護師として京都市立病院脳神経外科の手術室担当で十一年間務めていた。周囲の優秀な看護師ほど「忙し過ぎて患者のケアに心を込める余裕がない」と辞めることに心を痛めた。
 まじめな看護師が辞めずに済む医療のあり方を求め、立命館大産業社会学部の夜間コースに社会人入学。同級生の経営者や営業マンらに刺激を受けて起業を決意。退職して大学院で準備に力を注いだ。
 韓国で普及している産後養生院をヒントに、日本では珍しい妊産婦ケアの事業化を思いついた。二〇〇五年夏に有限会社を設立、大阪府内のマンション集会所で住民対象の妊産婦支援交流会を半年間試行。月一回の交流会で母親らの交流が活発になり、妊産婦ケアのプランに自信を得た。
 来月からは堀場製作所と提携して社員向けカウンセリングなどを請け負う。「看護師らスタッフが経験を積めば、独立して各地でこの事業を広げられる。妊産婦、看護師両方の笑顔を増やしたい」

たにぐち・ともこ 京丹後市出身。京都市立看護短大卒。同市立病院脳神経外科で11年間勤務。退職後、立命館大大学院を経て2005年に起業。今年3月、経済産業省の「ソーシャルビジネス55選」に選ばれた。

【2009年4月5日掲載】