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工夫と心配り 客層拡大

旅館「祗をん新門荘」若女将 山内理江さん
旅館「祗をん新門荘」若女将 山内理江さん

 祇園街の花見小路通に面した旅館(京都市東山区)前に立つと、道行く人から次々と声を掛けられ、人なつっこい笑顔を見せる。若女将になって七年。「旅館経営の面白さが分かってきた。女性の目線を生かしていきたい」
 当初は「腰掛け」のつもりで家業を手伝い始めた。大学で会計を学び、税理士を目指して卒業後、資格を取るまでと思って制服姿でフロントに立っていた。二カ月ほどして、普段の接客から芸舞妓を呼んでの座敷の切り盛りまでこなしていた女将の母が病に倒れ入院した。折しも得意客だった修学旅行生が減り、経営環境は厳しさを増していた。代役として慣れない着物をまとい表に立った。「ばたばたで迷っている暇もなかった。従業員に助けられた」と振り返る。
 経理の知識が支えになった。「修学旅行生に頼らない体質改善が必要」。幅広い顧客を迎えるため小さい工夫から始めた。客室での香のサービスや夏場の浴衣付き宿泊プランなど、若い女性ならではの感性できめ細かに心配りした。現在では半分が一般観光客となり、経営の安定が増した。「役が人を育てると言いますが、必死でやれば何とか務まるものです」と笑う。現場を退いた母に代わって社長の父を支えながら、いずれは四代目として経営を引き継ぐ覚悟だ。
 昨年末からの景気悪化の影響を京都観光も受けているが、客層を広げたおかげで「ほとんど影響はない」。それでも先を見据えて常に危機感と向上心を忘れない。「現場に出て、お客さまの声をきちんと聞き、すぐに実践に移すことが私の役割」と自らに言い聞かせている。

やまうち・りえ 京都市出身。関西大商学部卒。2002年4月から家業を手伝い、「祗をん新門荘」若女将に。旅館ホームページも充実させ、2年ほど前から「若女将ブログ」を執筆している。趣味は書道。29歳。

【2009年4月12日掲載】