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リピーター獲得へ工夫

お花坊女将 小西綾子さん
お花坊の女将小西綾子さん

 旅館が並ぶ京都市下京区の東本願寺前。アジサイが周囲を彩る玄関先に着物姿で立ち、笑顔で宿泊客を迎える。女将になって9年。「お客さまの要望にいち早く気づき、スタッフの先頭に立って仕事をすることが必要です」と現場主義の大切さを話す。

 不況の波が京都の観光業界にも押し寄せているが、リピーターが多いことから堅調な運営を続ける。「一度来ていただいた以上は家族のように接したい」との思いが12室の小さな宿を支えている。

 1915(大正4)年に創業した旅館の4代目に20歳で嫁いだ。当初は不安もあったが、呉服店を営む両親の元で育ったため365日働くことに抵抗はなかった。

 顧客満足度を高めるための努力は惜しまない。女将となって調理師免許を取り、高齢の客を送迎するため大型免許も取得した。スタッフと意見を出し合い、外出用の浴衣のプレゼントや舞妓姿を体験できるプランなどを取り入れた。京野菜を使った料理にも定評がある。

 「お客さまが喜ぶことを考えることが楽しい。夢はどんどん広がります」。旅館でプロポーズして結婚が決まった宿泊客には急きょ花束を届け、スタッフ全員で祝った。

 宿泊客の異変や急な要望にすぐに対応するため、フロントの近くで寝ている。「毎日が失敗の連続だけど、より温かみを感じてもらえる宿にしていきたい」

 一男一女の母親で、子どもと過ごす時間は限られているが、「忙しく働いている背中を見て何か感じ取って欲しい」と仕事に打ち込んできた。「一人では到底できない。義父母や夫、スタッフみなの協力のおかげです」と感謝する。

 こにし・あやこ 短大卒業後、90年に結婚して「お花坊」に入り、2000年から女将として切り盛りする。旅館は下京区不明内通下珠数屋町上ル。趣味は絵手紙で宿泊客への礼状に四季折々の花の絵を添える。京都市出身。39歳。

【2009年6月7日掲載】