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老舗の重みにも自然体

聖護院八ッ橋総本店 取締役経営企画室長 鈴鹿 可奈子さん
聖護院八ッ橋総本店 取締役経営企画室長 鈴鹿 可奈子さん

 入社3年目の昨秋、商品企画の変更に合わせて包装紙のデザインを一新した。20年以上使ってきたチェック地の絵柄から、「聖」の文字を大きくあしらったシンプルな柄に変更した。八ッ橋の香りの源となるニッキや素材の抹茶にちなんで薄い茶色や緑を採用した。

 「顧客ニーズに振り回されることなく、お客さんがわかりやすいように心がけた。当社の商品づくりは20〜30年単位で考えているため、包装紙も最低10年は持つデザインにしました」

 江戸前期の元禄年間に創業した老舗に生まれた。鈴鹿且久社長の一人娘で、会社のアルバムには社員と一緒に2〜3歳の自分が写っている。のれんの重みが肩にのしかかる立場だが、「生まれた時から会社にいたようなもの。会社は生活の一部です」と気負いはない。

 中学生の時、両親から「会社は継がなくてもいいから家は継いでほしい」と言われた。自分の考えは高校に入ってから決まった。「せっかく機会があるなら会社の経営もおもしろそう」。京都大に進学し、志望していた経済を専攻した。3年で米国に留学し、経営の基礎も学んだ。

 ミクロ経済への関心から、卒業後は帝国データバンクに就職し、総務部門で採用などを担当した。家業を継ぐためすぐに退社したが、同社発行の情報誌に女性の消費行動に関するコラムを書くなど貴重な経験を積んだ。

 2006年1月に取締役として入社した時はまだ23歳だった。現在は総務部長も兼ね、採用にもかかわる。「入社した時はそれほど深く考えていなかったが、社員のみなさんから励まされるうちに純粋にがんばらないと、と思うようになってきた」という。

 八ッ橋は京都を代表する名産品。「時代に合わせて変えるべきことは変えたいが、守るべきことは守り続けたい」と大きな瞳を輝かせる。

 すずか・かなこ 京都大経済学部卒。信用調査会社勤務をへて06年1月、聖護院八ッ橋総本店入社。身近な出来事を題材に文章を綴るのが趣味。京都市出身、26歳。

【2009年6月14日掲載】