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海外スタッフの処遇設計

京セラ人事企画部グローバル人事企画課責任者 櫛下町友紀さん
京セラ人事企画部グローバル人事企画課責任者 櫛下町友紀さん

 世界で事業展開する企業は海外スタッフの処遇にその国の文化や国民性をどう反映させるかの課題を抱えている。海外グループ会社の人事制度にかかわってきた経験から「現地社員の能力を引き出す制度設計が大事。その気質や価値観をどれだけ理解しているかが問われる」という。

 担当するのは経済成長が著しい中国とシンガポールの事業会社。ときに2〜3週間にわたり現地に出張し、日本人幹部や現地従業員の声を基により適した制度を考える。

 日本では長期雇用を前提に給与や処遇を決めることが多いが、中国人は「実力志向が強く、目標値や到達度などの客観性がないと納得しない」。一方、ドライな数値評価だけでは意欲的な目標や同僚との協力関係は引き出しにくい。「職場風土向上への貢献度やチャレンジ精神など、京セラならではの評価項目を盛り込むのが秘けつ」と話す。

 天津の太陽電池製造会社で一昨年、日本人幹部と現地従業員の相互理解を深めるよう成果目標を月に一度対話する制度を設けた。半年後に会社を再訪した時、中国人スタッフが以前より生き生きと働く姿を見て「心からやりがいを感じた」と笑顔を見せる。

 中国人への洞察力や仕事の心構えは中国・復旦大への留学や勤めた上海の日系コンサルタント会社で培った。「自分の未熟さによる失敗を周囲のせいにしていた。当時の上司に『自分自身に壁を作るな』と言われ、どんな仕事も恐れず向き合う姿勢になれた」

 中国で積んだ経験を生かそうと京セラに移って約3年。現在はシンガポールの販売会社の人事制度改定で日本と東南アジアを行き来する日々だ。「日本人と現地の人の間の価値観や考え方のギャップを埋める『文化の翻訳者』でありたい」

 くしげまち・ゆき 立命館大国際関係学部卒。中国・復旦大留学や上海の日系経営コンサルタント会社などを経て、06年に京セラ入社。08年3月から現職。京都市出身。33歳。中国は友人も多く出張時の再会が楽しみ。

【2009年6月21日掲載】