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うちわ作りの粋を守る

小丸屋住井代表 住井啓子さん
小丸屋住井代表 住井啓子さん

 江戸初期からうちわ作りを手がける老舗の10代目。「先祖のDNAを大事にしてこそ、家業という幹は太くなる。目先の商売に走らず、どんなお客からも良いと思われるものづくりを大切に守ってきた」と心意気を語る。

 プラスチック製のうちわが当たり前になるなかで、素材は国産の竹にこだわる。客から好みや予算などを聞き、自らもアイデアを出しながらうちわのデザインを決めていく。「お客の満足感をいかに高めるかが大事」という姿勢に引かれ、毎年うちわを買い求めるファンも少なくない。

 父親の代から京都の花街や日本舞踊の各流派が舞台発表で使う扇子や傘、面などの小道具も手がける。扇子の図柄や道具の構成は「流派の違いはもちろん、演目や衣装の色、舞台の背景などを総合的に判断する」。最適なコーディネートで芸の世界を支える。

 強い思い入れがあるのが2000年に売り出した「新深草うちわ」。原型は江戸初期の高僧、元政上人が考案したナツメ型のうちわで、上人と親交のあった住井家が手がけて京名物となったが、明治末から作らなくなった。

 都をどりの時代考証を担った故宗政五十緒・龍谷大名誉教授から「ぜひ復活を」と提案され、都名所図絵を図柄に選んでもらうなど協力を得て復元にこぎ着けた。再び看板商品となり、「深草うちわを広めたいという先生の思いがあったからこそ」と話す。

 2人の子どもを育てつつ、二人三脚で店を切り盛りしてきた夫善治氏を7年前に亡くし、店の代表に。長女の千晶さん(36)が同居し、仕事を手伝ってくれるのが支えになっている。「ものづくりに対する姿勢やお客への心配りに家業を守っていこうという思いが見える」と成長ぶりに目を細めた。

すみい・けいこ 1624年創業の小丸屋の長女に生まれ、京都精華女子高卒業後、勤めた宝飾品店で同僚だった善治氏と結婚。夫婦で家業を継いだ。2003年から代表。店舗は京都市左京区岡崎円勝寺町。現在は長女夫婦と孫の4人暮らし。京都市出身、59歳。

【2009年8月23日掲載】