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西陣との縁、いつも感じ

西陣織会館館長 大槻ゆづるさん
西陣織会館館長 大槻ゆづるさん

 国内外から訪れる観光客をもてなし、京都の和装文化を紹介する。着物ショーや和装の展示、販売などを切り盛りする。館長就任からもうすぐ9カ月。着物姿にも慣れ、携帯電話を手に館内を駆け回る。「ものづくりの本当のよさをここからもう一度発信し、少しでも西陣を活性化させたい」と目を輝かせる。

 学生時代から京都で暮らす。卒業後、西陣信用金庫に入り、営業や人事、秘書などを幅広く経験した。預金集めに織物会社を回り、西陣織工業組合の催事でレジ係を務めた。「今でも当時を覚えている方から声をかけてもらうことがうれしい」と話す。

 信金時代、2度の経営破綻(たん)を経験した。就職10年目、西陣信金は伏見信金に合併され、2001年には京都中央信金へ事業譲渡された。「京都は競争が激しい地域だったが、つぶれないと思っていた金融機関の破綻に驚いた。家族を持つ職員も多く、職場はたいへんだった」と振り返る。

 福祉の道に進み、ヘルパーとして働きながら夜は専門学校に通って介護福祉士の資格を取った。福祉の仕事を通じ「人間としての生き方や物を大切にするといった昔ながらの価値観も学んだ」という。

 再び転機が訪れる。信金時代の知人を通じ西陣織工業組合の職員にと声が掛かった。すでに正社員として福祉の仕事にやりがいを感じていたため悩んだが、「西陣との縁を感じた」と転職を決意した。

 現在、組合の事務局長も兼務する。11月には国産繭(まゆ)を使った展示体験事業を立ち上げるなど新たな取り組みも始めた。「周囲の助けがあったからここまでやってこれた。新しい仕事に挑戦するチャンスを与えていただいたことに感謝しています」と話す。

おおつき・ゆづる 梅花女子大卒。西陣信用金庫、訪問介護事業所勤務を経て2007年から西陣織工業組合職員。今年4月から現職。組合事務局長も兼務。綾部市出身。48歳。

【2009年12月20日掲載】