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伝統受け継ぎ個性表現

富宏染工取締役 藤井友子さん
富宏染工取締役 藤井友子さん

 京都市上京区の手描(が)き友禅工房。6人の女性職人が生地に描かれた絵柄に筆やはけで色を入れていく。「若い人向けに価格を抑えて販売される着物ですが、高級品と同じ工程で作ってます」とほほえみながら作業を見守る。伝統を受け継ぎながら、洋服感覚でおしゃれを楽しめる商品作りに力を入れている。

 多くの職人が携わる着物作りの工程全般を統括する染匠の藤井寛社長の一人娘として京都・室町に生まれた。幼いころから家に職人や業者が出入りし、「伝統産業というより一つの商売という意識が強かった」。大学卒業後、家業に抵抗もなく仕事を始めた。

 ただ、和装業界の不況が深刻化するにつれ「このままで立ち行くのか」との思いが募り、2005年から同志社大のビジネススクールで経営を学んだ。さまざまな職種の社会人らと議論を交わす中、「流通や小売り形態など業界の特殊な商慣習が『時代に合っていない』と指摘を受けた」。他方、京都は伝統産業を下地に発展した企業が多く、「ものづくりを守り育てようという価値観を持つ人が多い」と再認識した。

 伝統技術を生かして新たな需要を広げるため、08年に新ブランド「tomihiro」を始めた。手描き友禅生地を使ったタンブラーや風呂敷、サンダルなどを商品化。昨年は帯とセットで10万円台の小紋や付け下げを出した。黒やグレーの地色に草花や雲などの絵柄をシンプルにあしらい、「洋装に交じっても違和感のない着物」をPRする。

 3月には大型ファッションショー「東京ガールズコレクション」に初めて着物を出品する。京都市が東京都内に開く着物アンテナショップでの新ブランド販売も決まった。「和装で個性が表現できる新しいスタイルを発信していきたい」と思いを巡らせる。

ふじい・ともこ 86年に同志社大を卒業後、染匠の父親が経営する富宏染工に入社。2008年同志社大ビジネス研究科修了(MBA取得)。自宅でアロマの香りを楽しむのがリラックス法。京都市出身。46歳。

【2010年2月21日掲載】