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風力発電機で社会貢献

生田産機工業業務部 渡辺千裕さん
生田産機工業業務部 渡辺千裕さん

 「経理職員」として機械金属加工メーカーへ転職してから10年がたった。従業員は57人。事務に専従できるほど人員に余裕がなく、担当業務はほかに人事、労務など幅広い。「大手企業と違って、本人のやる気次第で何でもできる」と明るく笑う。

 それを実感したのが小型風力発電機の開発プロジェクトだった。「単なる装置にならんよう、市場に出せるもんを考えてくれ」。2005年、社長の一言を受け、仕事の合間に未経験の製品デザインに没頭した。設置先の京丹後市の職員らと協議を重ね、風車本体と制御システムを一体化した機種を完成させた。

 昨年には立命館大の依頼を受け、羽根を上下2段構造にした風力発電機の開発に挑んだ。設計や電気工事専門の同僚と一緒に試作を繰り返し、10カ月かけて草津市のキャンパスに設置した。「社内の技術力を結集すれば、中小企業でも本格的な製品が作れるんだと感動した」と振り返る。

 3年前から地域の小学校で環境の出前授業も続けている。子どもたちに風車の模型を示し、発電や送電の仕組みを丁寧に解説する。かつて教員を目指していただけに、つい話に熱がこもる。「開発した風力発電機をビジネスだけでなく、社会貢献にも役立てたい」と夢を膨らませる。

 前に勤めていた地元信用金庫が経営破たんした10年前も悲観はしなかった。「自分の力を試してみたい」と、同じ金融機関への転職には目もくれず、未知の製造業界に飛び込んだ。入社4年目でホームページを刷新し、全社員のプロフィルを掲載した。ページにはベテランから若手までの豊かな笑顔があふれる。「ものづくりの要(かなめ)は人材。生き生きと働く社員の姿を伝え、同時に社内の結束も強めていきたい」

わたなべ・ちひろ 立命館大文学部卒。1991年、旧伏見信用金庫入行。2000年11月に生田産機工業に移った。小学5年の長男と夫、両親の5人暮らし。休日は子どものサッカーの試合観戦を楽しむ。宇治市在住。41歳。

【2010年3月21日掲載】