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使い手の目で家電開発

パナソニック ホームアプライアンス社 くらし研究所所長 籔ゆき子さん
パナソニック ホームアプライアンス社 くらし研究所所長 籔ゆき子さん

 パナソニックの洗濯機や冷蔵庫など白物家電の商品開発を担う「くらし研究所」(草津市)を束ねる。「商品開発の面白さは、何もないところから練り上げて店頭に並ぶこと」。中国や欧州など海外に散らばる同社の生活研究拠点も統括し、各地域に根差した商品を生み出す。

 「生活家電は文化そのもの。国によって冷蔵庫に入れる物は全然違う」。例えば、欧州の家庭の冷蔵庫には加工食品が多い一方、アジアなど新興国では野菜などの素材が詰め込まれる。洗濯機の置き場所も欧州はキッチン、中国はトイレといった具合だ。

 こうした生活習慣の違いについて各国研究拠点の現地社員による分析を集約する。自身も、各地の一般家庭の冷蔵庫や洗濯機などを何度ものぞいて、ニーズを掘り起こす商品戦略を立てる。

 1981年に入社、洗濯機部門で初の女性技術者となり、使い手の視点に立った商品開発を期待された。主婦モニターの「毛布を家で洗いたい」という声に着目し、毛布コースやウールコースなど業界初の開発につなげた。

 女性だけの商品企画班で「愛妻号」など多くの商品を生み出した。最もヒットしたのは2003年発売のななめドラム式洗濯乾燥機。「車いすの人でも洗濯物を出し入れできるデザインを優先し、『できない』という技術者らを何度も説得した」と振り返る。

 06年、白物家電全体の商品開発を統括する現職に就任。休日も家電のあり方が頭から離れず、「マンションや住宅のモデルルーム巡りが趣味になった」。キッチン間取りや家電の置き場所が参考になっている。

 今後の白物家電は環境性能が鍵とみる。「新興国で家電が普及すれば、それだけ水や電力の消費が増える」。省エネ家電の開発促進が目下の重点課題だ。

やぶ・ゆきこ お茶の水女子大卒。1981年、松下電器産業(現パナソニック)入社。主に洗濯機の商品企画開発を担い、ななめドラム洗濯乾燥機などのヒット商品を生む。2006年から現職。神戸市に家族を残し、大津市に単身赴任中。鹿児島県出身。51歳。

【2010年6月20日掲載】