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お守りの可能性に挑む

松田社長 百々智子さん
松田社長 百々智子さん

 先行き不透明な現代社会。寺社では若い人の姿も目につくようになり、お守りの人気も高まっているという。「お守りのニーズも世の中の変化に合わせて多様化しています。最近はお守りに特徴を出したいという神社やお寺が増えています」。新しいお守りのデザインや使い方を考案し、業界に新風を吹き込む。

 金襴(きんらん)や絹、合繊などから素材を選び、色や形を考える。金具や組みひもを付ければ携帯電話向けのストラップにもなる。全国各地の神社や寺から要望を聞き、それぞれの由緒などをちなんで無病息災、恋愛成就、美人祈願などさまざまな御利益を形にする。企画・デザインは女性社員数人がアイデアを出し合う。半年がかりで試作や作り直しを重ね、年間数十種類を仕上げるという。

 両親が1960年に宇治市ですだれづくりから創業し、御簾(みす)の仕事を始めたのをきっかけにお守りの企画・製造に参入。91年に会社を設立し、98年、京都市西京区に移転した。全国の成田山や清水寺など取引先は多岐にわたる。

 子どものころから家業を手伝ってきた。3人姉妹の真ん中。23歳で結婚し、2人の子育てが一段落したため、急きょ後を継ぐことになった。95年に社長として入社した。「お守りづくりは好きでしたが、会社経営は責任が大きく、やっていけるか不安だった」と振り返る。決算書の見方から勉強し、異業種交流会にも足を運んだ。

 昨年、同志社ビジネススクールの伝統産業グローバル革新塾で学んだ。伝統産業の活性化を目指す多くの塾生から刺激を受け、「伝えるべきものを守りながら、時代に合わせて変えていく京都のものづくりのすごさをあらためて感じた」。伝統産業の魅力を見つめ直し、「大切なものを入れる袋」としてのお守りの新たな可能性を模索する。

どど・ともこ 短大を卒業後、主婦を経て1995年に両親が経営する松田に入社、社長に就任した。同志社ビジネススクールの伝統産業グローバル革新塾3期生。京都市伏見区出身。53歳。

【2010年6月27日掲載】