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初挑戦の洋菓子で金賞

冨美家社長兼会長 藤田富美子さん
冨美家社長兼会長 藤田富美子さん

 錦市場(京都市中京区)で生まれた飲食店「冨美家(ふみや)」を経営する。看板メニューは具材たっぷりの鍋焼きうどん。うどんのテークアウト用パックは誕生から45年に及ぶロングセラー商品で、現在も百貨店の食料品売り場に並ぶ。食材にこだわり抜く姿勢で伝統の味を守る一方、新しい食品の開発にも情熱を燃やす。

 昨年7月、バウムクーヘンの加工販売店を伏見区にある加工工場の隣に開業した。不況で主力のうどん食品は低価格の競合商品に押されている。「何とかしなければ」と悩み抜いた末、洋菓子加工への事業進出を決断した。

 バウムクーヘンの開発には苦戦した。洋菓子の知名度はゼロ。「よほどおいしくないと買ってもらえない」と覚悟し、幹部と原料選びと試作を何度も繰り返して風味を追求した。その商品は今春、国際品評会モンドセレクションの金賞と、国際食品コンクールの最高評価である三つ星に輝いた。「思ってもみなかった。次のステップへの推進力になる」と素直に喜ぶ。

 食材に妥協しない姿勢は創業者の父親譲りだ。「材料にはとことん凝る。たとえ原価ぎりぎりでも味は絶対に落とさないのがうちの伝統なんです」

 パートを含む従業員130人の中に営業担当は1人もいない。「父には『一つ一つの商品が営業マン』と教えられた。お客さまがおいしいと思うことが一番の営業になる。だから期待を裏切らないことが最も重要」と信念を語る。

 消費不況や量販店の攻勢で飲食、食品加工業界は淘汰(とうた)が進む。だが「無理な事業拡大や低価格化はしない」と言い切る。「のろまなカメでもいい。毎日コツコツと積み重ねる努力が明日をつくると信じています」

ふじた・ふみこ 平安女学院短期大卒。1969年、冨美家入社。専務を経て2002年4月、会長に就任。08年6月から社長を兼任する。30代から始めたスキーが趣味で、毎冬はゲレンデに繰り出す。京都市中京区出身。61歳。

【2010年7月11日掲載】