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低反射フィルムに没頭

グンゼ研究開発部研究員 松根未和さん
グンゼ研究開発部研究員 松根未和さん

 携帯電話や自動券売機などに使われるタッチパネルは、肌着大手のグンゼが繊維製造技術を応用した機能ソリューション事業の先進技術の一つ。その中でも、パネル画面表面に映り込む周囲の照明や風景の反射を抑える低反射HD(高耐久)フィルムの開発を一手に担う。「一般の人には分からない分野だけど、陰ながら人々の生活を支える部品を作るのが技術者の誇りです」

 通常のフィルムやガラスは光を4〜6%ほど反射するため、映り込みが激しいとパネル画面が見にくくなる。低反射HDフィルムではそれを1%以下に抑えるのが目標だ。低反射素材自体は開発を確立したが、問題はHDフィルムと低反射素材の接着方法。薄さ0・1マイクロメートルで素材をフィルムに単に吹き付けてもはがれやすい。「素材や表面組成、吹きつけ方と試行錯誤は何十、何百通り」

 2月に展示会で低反射素材の試作品を出展し、電子機器の担当者らから「耐久性だけじゃなく、反射しないこんな画面が欲しかった」と好感触を得てやる気に燃えた。商品化の目標は来年初め。「ゴールはぼんやり見えてきた」

 研究開発の仕事は大学院の延長のように思っていたが、実際の開発現場はイメージとかけ離れていた。守山市内の工場でフィルム生産機械を相手に10キロ単位の原料ボトルをフォークリフトで何度も運んで実験を繰り返す毎日。「体育会系ではないのに素材運びで筋力がついて、握力は(女性平均より約10キロ強い)38キロになった」と笑う。男ばかりの研究室に自然体で溶け込み、上司からは「増え始めた女性研究者の良い手本」と期待される。

 機能性フィルムを使ったタッチパネルは「将来性が面白い」。いつか、電車で隣り合わせた人が自分の開発したフィルムを載せた製品をさわっているところを見るのが夢だ。

まつね・みわ 京都工芸繊維大大学院工芸科学研究科修了。2007年、グンゼ入社。研究開発部に所属し、HDフィルム開発に携わる。乗り物好きで普通二輪免許、フォークリフト運転者資格を持つ。兵庫県西宮市出身。野洲市在住。28歳。

【2010年7月18日掲載】