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和装と職人技の魅力発信

京都染織青年団体協議会会長 五十嵐亜紀さん
京都染織青年団体協議会会長 五十嵐亜紀さん

 夕暮れの鴨川に揺らめく京友禅の美しさに観客からため息が漏れた。先月、京都市で開いた「京の夏まつり」の友禅流しファンタジー。今年は職人を舞台に上げるなど初めての試みにも挑戦し、「職人の仕事をより効果的に見てもらうことができてよかった」と喜ぶ。エコバッグの型染めや刺しゅうの体験イベントも子どもたちの人気を集めた。

 今年4月に就任し、和装振興と職人の手仕事の発信を活動方針に掲げた。「本気で和装振興をできるのは自分たちしかいないと自覚を持って取り組むことが大事」と決意を新たにする。

 「魅せる着物」をテーマにしたファッションショーなど新規事業の準備も進めている。会員は30〜40代の事業主や和装関連企業の若手経営者が中心で「新しいことにチャレンジするのはたいへんだが、みなさん力を貸してくれる」と喜ぶ。

 高校を卒業して家業の意匠紋紙(もんがみ)製造を継いだ。意匠紋紙は織物の「設計図」で、たて糸とよこ糸の組み合わせを図で示す。機械化が進んでいるが、手作業はより細かく表現することができ、デザインにも柔らかさが出る。

 母が設立したアトリエいがらし(京都市上京区)に入社して13年後の2001年には、念願の伝統工芸士になった。「気が引き締まり、仕事の励みになった」と振り返る。

 仕事のパートナーは同じ会社で働く姉の由紀さん。双子の女性職人は京都和装業界では知られた存在で、「姉にイメージを伝えると自分が思っていた通りに仕上がる。姉がいるから今までやってこれた」と感謝の気持ちを忘れない。

 和装業界を取り巻く環境は厳しいが、「職人はまじめに仕事をしている」と言い切り、子どもたちが職人や手仕事にあこがれを持ち始めたことを何よりも喜んでいる。

いがらし・あき 京都精華女子高卒。1987年から意匠紋紙の職人に。2002年、京都染織青年団体協議会入会。今年4月から現職。仕事中は「部屋に閉じこもりっきり」のため、休日はゴルフやテニスで体を動かす。京都市出身。41歳。

【2010年9月5日掲載】