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ミツバチに報いる商品を

はちみつ専門店「ドラート」オーナー 大石 恵美さん
はちみつ専門店「ドラート」オーナー 大石 恵美さん

 京都・西陣の町家を改修した店舗に、黄金色やこげ茶、乳白色など色とりどりのはちみつが入った瓶が並ぶ。味や香りは花の種類によって異なる。「飲み物や料理との相性もあり、それぞれ特徴や使い方の説明を記してます」と来店者に笑顔で話しかける。

 起業は、結婚後に大阪市から西陣に移り住んだのがきっかけだった。8年前に知人の紹介で町家を見つけた時、「静かで落ち着いた空間を生かしてよそにはない店を始めたい」と考えた。健康食で自分の好物でもあったはちみつを世界中から集めて専門店を作る夢が生まれた。

 開業準備に1年をかけた。はちみつの歴史やミツバチに関する書籍を読みあさり、国内で出回っている商品はほぼ試食した。仕入れ先の開拓では愛知や長野など各地の養蜂家を回った。たいていの産地は生産量が少なく「量の約束ができない」と断られたが、「少しでいいから分けてほしい」と粘り腰で交渉した。

 2004年に1号店をオープン。開店の際、決めたことがある。「やるからには安心して求めてもらえ、ブランドとして認められる商品に」。海外産も直接産地を訪ねたり、商社を通じて味や品質を確かめた上で仕入れる。現在はイタリアやカナダはじめ国内外約40種もの商品を扱う。甘味料や添加物を使わず、花のみつだけの天然ものばかりだ。

 味や品ぞろえが評判を呼んで観光客が訪れるようになり、常連客も増えた。08年には神戸店を出店した。客が「ドラートのはちみつを贈り物にしたい」と言ってくれるのがうれしい。

 休日も仕入れやカルチャー教室の講師などでつぶれることも多いが、夫や3人の子どもたちが応援してくれるのが励みだ。経営規模の拡大には執着しない。「1匹のミツバチが一生に作るみつは小さなスプーンに1杯ほど。心を込めて販売したい」と接客の大切さを強調する。

おおいし・めぐみ 大阪市の短大を卒業。広告代理店勤務などを経て、2004年に京都市上京区で「ドラート」を開店。08年に神戸店をオープンし、通信販売も行っている。大阪府出身。39歳。

【2010年9月12日掲載】