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京阪バス 指導運転手 中森真理さん

乗客に配慮 常に笑顔で
京阪バス 指導運転手 中森真理さん

 観光バスで全国初の女性運転手として、1986年の入社時に脚光を浴びた。以来24年間ハンドルを握り続け、現在は京都市交通局の受託事業で路線バスを運転している。「同じ道路でも気は抜けない。状況は毎日違うと自分に言い聞かせている」

 入社1年目の報道の過熱ぶりは忘れられない。入社試験の時から報道陣が押し寄せた。1年間で新聞に登場した回数は41回、テレビ23回、雑誌21回。おかげでバス運転中も道行く人によく指さされた。「とにかく事故を起こさないよういつも集中していた」

 高校卒業後、奈良でバスガイドを2年半務めたが、ガイド業よりも同行していた運転手へのあこがれが募った。「私だってできる」と一念発起。まず運送会社に入社してトラック運転手となり、大型車両の運転を練習した。86年、京阪バスが古都税問題で低迷する京都観光の活性化のため、話題づくりに女性運転手を公募。もう1人の女性とともに合格し、念願をかなえた。

 観光バス業務を長年続けてきたが2005年、市交通局の路線バス業務に異動した。接客をバスガイドに任せる観光バスとは異なり、路線バスは運賃の受け取りやダイヤ厳守に加え、立って乗る客への配慮も欠かせない。「通勤ラッシュや観光客で混雑する時は緊張する」

 路線バスの運転を始めてから自らに課している独自の心得がある。「いつも笑顔で運転」。路線バスに移った当初はイライラしがちな自分をよく反省した。はじめから笑顔なら「どんなことにもイライラしないし、お客さんも気持ちいいはず」。

 07年に女性として初の指導運転手に昇格し、後輩を教える役割も担う。やりがいのある運転手を定年まで全うするのが夢だ。「早番で、日の出を見ながら運転する時、喜びを感じます」

なかもり・まり 奈良県立橿原高卒。同県内のバス会社でバスガイド、運送会社でトラック運転手などを経て、1986年に京阪バス入社。観光バスで全国初の女性運転手として注目を集めた。2007年、指導運転手に昇格。同僚の夫と大阪府枚方市で暮らす。48歳。

【2010年10月17日掲載】