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自社の技術を権利化

オプテックス技術開発本部開発戦略室知財担当 植田あけみさん
オプテックス技術開発本部開発戦略室知財担当 植田あけみさん

 独自に考案した新技術などの知的財産(知財)は、特許庁に出願、登録されることで初めて独占的権利として保護される。「技術者が苦労を重ねて編み出したアイデアを守るのが仕事」。技術進化が目覚ましいセンサー業界で、自社技術を権利化する「知財の番人」としてキャリアを重ねる。

 現在は知財部門の中核として社を支えるが、16年前までは「フルタイムで働いたことがない主婦」だった。大学卒業後すぐに結婚し、5人の子育てをしながら父親の税理士事務所を手伝っていた。育児が一段落し「一度、企業で働いてみたい」と訪れた職業安定所で、パートの募集を見つけた。パソコンの技術と英語が生かせる仕事にひかれた。

 最初に任されたのは、自社製品が輸出国の規格に適合しているかを証明する書類づくり。海外戦略を左右する部署での仕事ぶりが認められ、入社から5年目で、社の技術管理を一手に引き受ける知財担当の正社員となった。

 知財担当には、最新の出願状況から他社の技術動向を調べ、自社の事業戦略に生かす重要な仕事もある。高度な技術についての知識が求められるが「理系出身ではないし、知財の専門家でもない。技術者からはおばさんに何が分かる、と思われていたかも」と振り返る。

 心掛けたのは、技術者の声に耳を傾けること。「しっかりと聞くことが、技術者の良い部分を引き出すことにもつながる」。知財では社内で一番を目指そうと、2008年には独学で知的財産管理技能士2級を取得した。

 出産し、育児休業を取る女性社員が増えたが「子ども1番、仕事2番」とアドバイスする。「あせってしまいがちだけど、育休中だって能力は蓄えられる。仕事をできる時が必ず来るのだから」と後輩たちにエールを送る。

うえだ・あけみ 京都産業大経営学部卒。1995年にパート社員としてオプテックス入社。契約社員を経て99年から正社員として知的財産を担当する。31歳の長男から19歳の次女まで5人の母。大阪府高槻市出身、大津市在住。54歳。

【2010年12月26日掲載】