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ふなずしを手ごろ価格で

「飯魚」代表 大島正子さん
「飯魚」代表 大島正子さん

 滋賀を代表する伝統食の一つ「ふなずし」。かつては多くの家庭で作られていたが、材料として欠かせない琵琶湖の固有魚ニゴロブナの減少で高級化し、作り手も減っている。そのニゴロブナを自社で養殖し、手ごろな価格のふなずし作りに情熱を燃やす。「需要が減っているが、本来おいしくて体に良いもの。多くの人に広めたい」

 旧安土町(現近江八幡市)で生まれ育ち、母親がふなずしを漬ける姿を見て育った。美術系短大を卒業後、京都市内のデザイン事務所に就職。職場結婚して京都で暮らしていたが、15年前、農業をしていた父親が亡くなったのを機に、家族で地元に戻った。

 仕事を続けながら、父親から受け継いだ近江八幡市内の水田4・5ヘクタールで米を作った。だが、収入は数百万円。経費を差し引くと赤字だった。新潟では水田でニシキゴイを養殖していると聞き、大好きなふなずしからニゴロブナの養殖を思いついた。

 早速、夫らと田の一部を池に造成したが、行政などから問題視された。説得に走り回り養殖にこぎつけたものの、病気が発生するなど2年たってもなかなか大きく成長しない。「当時ニゴロブナを養殖しているのは県の水産試験場だけ。何度も問い合わせたが、どうすればいいか分からなかった」と振り返る。

 だが、ニシキゴイを参考に、約5年かけて薬剤などを使わず自然に近い状態で養殖する技術を確立。県内企業の支援もあり5年前に起業した。

 現在、養殖池を約2・7ヘクタールに広げ、年間約3トンを水揚げできるようになった。自宅近くにふなずしの加工場兼店舗も構え、百貨店や飲食店、道の駅など60社に販売先を広げた。そんな折、二人三脚で事業を進めてきた夫が昨年12月、病気で亡くなった。「養殖は、魚が一度に全部死ねば倒産しかねないほどリスクが高い。でもせっかくここまでやってきたんだから、ずっと続けたい」

おおしま・まさこ 京都嵯峨芸術大短期大学部卒。1997年1月からニゴロブナを養殖。2006年7月にニゴロブナ養殖とふなずし加工販売会社「飯魚(いお)」を設立。長男、次男との3人暮らし。旧安土町出身。近江八幡市在住。49歳。飯魚は近江八幡市安土町上豊浦973の1TEL0748(46)6554。

【2011年9月11日掲載】