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思いやり システムの基本

フェムト社長 梅谷康子さん
フェムト社長 梅谷康子さん

 薬学の博士課程を修了した翌月の4月、生産管理システムを構築するフェムト(京都市伏見区)を機械製造業の経営者と設立した。製薬業界には「男性社会で女性は活躍しにくい」イメージがあり、プログラムを組むアルバイトの経験を生かすことに。「妥協しない」を心掛け、機械製造業など200社以上のシステムを築いてきた。

 仕事に没頭する。熱で保育園を休む子どもを実母に預けて出勤、会社から保育園に連絡するつもりがし忘れ、逆に保育園から電話がかかってきたこともある。家庭への切り替えも早い。会社を出た途端、夕飯の段取りを考える。「家族は大事」との思いから毎晩、夕食を作っている。

 設立から約25年、事業は順調だったが限界も感じていた。モバイル機器でいつでもどこでも同じデータが利用できる生産管理など、新しい利用法に応えるシステム作りには、自身を含め4人では足りないとみた。社員の技能向上と顧客の事業継続性を重視し2010年、組み込みプログラム開発のプロアシスト(大阪市)に社員と移籍した。

 プロアシストでは執行役員ICT事業本部長として、モバイル機器のソフト開発と、フェムトの事業と同じ生産管理システムを束ねている。約20人に増えた部下には「想像力と思いやり」を説く。昔のデータを呼び出すなら、番号入力よりも販売日の方が使いやすい。「どういう状況かを想像し、それに役立つものを作る。思いやりがシステムの基本」と話す。

 フェムトは存続させている。設立への「思い入れがある」だけでなく、将来新たなビジネススタイルを生み出していく際の土台と考えているからだという。「日本人は地道に丁寧に研究を積み重ねていったり、人を思いやったりするいいものを持っている。いいものを伸ばしていく教育の仕組みをつくっていきたい」

うめたに・やすこ 京都大大学院薬学研究科博士課程を修了した1984年にフェムトを設立し、副社長に就任。2003年社長。10年、プロアシストに移籍。趣味はフラメンコ。名古屋市出身、京都市伏見区在住。56歳。

【2011年9月18日掲載】