京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > MyウェイMyライフ
インデックス

ふなずし、伝統の味一筋

総本家喜多品老舗若女将 北村真里子さん
総本家喜多品老舗若女将 北村真里子さん

 江戸初期の元和5(1619)年に創業したふなずしの老舗に生まれた。17代目で父の眞一さん(73)、母のひろ子さん(69)、18代目を継ぐ夫の篤士さん(39)とともに、伝統の味を守り続ける。

 ふなずしは琵琶湖で捕れた産卵前のニゴロブナを2年塩漬けし、近江米で1年漬け込む。さらに新しいご飯に漬け替え数カ月置く。出来上がるまでに約3年3カ月を要し、手間暇もかかるが、昔ながらの製法を大切にする。「長く塩漬けすることで身が引き締まり、ご飯によって芳醇な発酵香になる」と話す。

 兄と弟がおり、自分が店を担う身になるとは思ってもみなかった。ニゴロブナが昔ほど捕れなくなり、原料確保も難しい。「母の苦労を見て、後を継ぐのは一歩引く感じだった」

 気持ちが変わりだしたのは19歳のころ。滋賀の物産展を手伝い、「ほかの店の後継ぎが家業を生き生きと語る姿に心を打たれた」。

 京都市内の料亭に就職。料亭の女将が妥協せず、持てる力の全てを出して客をもてなす姿勢に、歴史ある家業に携わる魅力を強く感じた。「料亭での経験は、店を背負う立場になった今に生きている」と振り返る。

 料亭で板前修業をしていた篤士さんと結婚。2000年から女将修業に入った。長男将記君(10)の子育てをこなしながら、全国の物産展を巡り、毎月27日を「ふなずしの日」と決めて西武百貨店大津店に立つ。

 昆布を乗せた「鮒寿し茶漬け」や「ふなずしあられ」、「ふなずし和ピザトースト」など初心者にも食べやすいレシピを考案。地元・高島にある他の発酵食品も一緒に楽しむ「発酵カフェ」も自店内でこれまで2回開き、11月にも催す予定だ。

 「伝統食を守り伝えるとともに、いろいろなことに挑戦し、ふなずしと客の距離を縮めたい。そして、自然豊かで、おいしいものがたくさんある高島の良さを多くの人に知ってもらえれば」。明るい笑顔で抱負を語る。

きたむら・まりこ 関西女学院短期大(現・関西国際大短期大学部)と京都調理師専門学校を卒業し、京都市内の料亭に就職。2000年実家に。サイクリングや料理を息子とし、コミュニケーションを取るようにしている。家族で温泉に行くのも楽しみの一つ。37歳。総本家喜多品老舗は高島市勝野1287TEL0740(36)0031。

【2011年10月2日掲載】