京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > MyウェイMyライフ
インデックス

幅広い印刷需要に対応

中川紙宗会長 中川清美さん
中川紙宗会長 中川清美さん

 1874(明治7)年創業の老舗印刷会社の5代目。社長を27年間務め、4月に次男謙治社長(39)にバトンを継ぎ、会長職に就いた。「社員には日々向上を、誠実に人に接するようにと、伝えてきました。これからも人材の育成に力を注ぎたい」と熱い思いを持ち続ける。

 京都市中心部の四条烏丸近くに本社と工場を構える。この地で生まれ育った。戦前まで筆墨や和紙の販売、木版刷り、和とじ帳面の製作を、戦後は印刷業を主軸に。1965年に守山工場(守山市)も構えた。

 社長として、厳しかった父が手本だった。奉公人から始めた父は、婿養子となり1987年に亡くなるまで家業を引っ張った。「仕入れに厳しく、工場のやかんも自分で直すほど、器用で節約家でした」

 自身は大学を出て、私立の中高で数学を教えた。父とは3年でやめて家業を手伝うと約束していた。それを守って入社し、経理部門の仕事を担った。その後、父は病を押して社長を続けたが、番頭格の重役から「これ以上は気の毒や。継いだらどうか」のひと言をきっかけに、43歳で社長に就任する決断をした。

 印刷業は設備が大きな要素になるだけに、社長には投資判断が迫られる。10年ほど前、UV印刷機という、板紙が乾いて出てきて加工機にすぐ回せる機械を導入した。「ちょっと無理をしましたが、短納期の仕事もこなせ、会社の強みになりました」

 売り上げの比重は商業印刷から、箱などの材料になる板紙の仕事が増えてきた。設備をそろえ、印刷から箱などのパッケージまで、一貫生産できる体制を築いている。

 幅広い業種に対応できる従業員を育てるとともに、芸術大出身のデザイナーを採用するなど専門性も重視する。「顧客から『いくらで刷れる?』と言われているようでは価格競争に陥るだけ。ニーズをつかんでこちらから企画・提案できるような会社にしていく」と話す。

なかがわ・きよみ 1964年、京都教育大卒。中学と高校で数学教師を務めた後、中川紙宗で勤務。子育て中はパート、後はフルタイムで働く。84年に社長、今年4月から会長。クラシック音楽鑑賞が趣味。次男夫婦と孫の4人家族。下京区在住。70歳。

【2011年10月23日掲載】