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問屋の言葉 耳傾け作陶

京焼・清水焼の女性伝統工芸士 清水幹子さん
京焼・清水焼の女性伝統工芸士 清水幹子さん

 板状に伸ばした粘土を手早くへらでならし、型に合わせ切り取る。円筒状の型に切り取った土をかぶせ、丁寧に切れ目をつないでいくと湯飲みの形が出来上がってきた。

 「ろくろを使わないたたら成形というやり方です。土のやわらかさを大切にしたい」と話す。

 京焼・清水焼では数少ない女性伝統工芸士の一人。2代目、3代目の職人が多い中、まったく陶芸とは無縁で、電気設備工事を営む両親のもとで育った。陶芸に興味を持ったのは高校生の頃。家族で訪れた滋賀の信楽で陶器のコーヒースプーンを見て「私も作りたい」と思ったのがきっかけだった。だが公立高普通科の担任は困惑。「人脈づくりを」と勧められ、芸術系短大の陶芸コースに進んだ。

 卒業と同時に京都市内の製陶所に就職したが、成形も絵付けもほとんどできなかった。「大学では同じ物をたくさん作ったことがなかった。ふがいなさと同時に、意地になって頑張ろうと思った」

 成形をしながら、絵付けや薬がけ、窯詰めなどを手伝い、一連の製作工程を見て覚えた。勤め始めて7年、社長に「独立しないのか」と勧められた。「一人でやっていけるのか」と悩んだが、知り合いから工房の借り手を探していると聞き、27歳で独立した。

 見本市などに出品し、問屋から声がかかるのを待つが、当初は見向きもされなかった。「自分の気持ちを込めすぎて、売れるかどうか考えていなかった」。問屋の言葉に耳を傾け、話し合えるようになると注文がきはじめた。

 その後、伝統工芸士にも認定されたが、離婚を経験。製作意欲がわかず、陶芸から離れようと保険外交員の仕事を勉強したが「やっぱり土を触りたい」と、2006年、再び工房を構えて作り出した。

 現在は月6日間、陶芸教室で教えながら、注文に応じて製作している。「来月も注文が入るか不安もあるが、今の自分があるのは、多くの人のおかげ。使ってもらえる作品を作っていきたい」

しみず・もとこ 1991年、京都芸術短大卒。京都市東山区の製陶所に勤務しながら97年京都府立陶工高等技術専門校修了。98年に独立し、2004年京焼・清水焼の伝統工芸士に認定された。両親と3人暮らし。伏見区在住。41歳。

【2011年10月30日掲載】