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足に優しい靴店を追究

フットクリエイト社長 桜井寿美さん
フットクリエイト社長 桜井寿美さん

 明るい店内に並ぶシューズ。テーブル上の箱には、さまざまな形の靴のインソール(中敷き)があふれていた。「間違った靴選びや靴の着用は、足だけでなく身体全体の健康も阻害する」と熱っぽく語る。

 もともと、靴に特別の関心はなかったが、就職した会社で営業の仕事をしていた時、足の痛みに悩まされた。「毎日パンプスを履いていると、足の親指の付け根が赤くなっていた」。病院に行っても湿布を渡されるだけで、原因についての説明はない。そんな時、夫がたまたま買ってきた足と靴に関する本を読んで、初めて外反母趾(がいはんぼし)を知った。本の著者に連絡を取り、足や靴に関するセミナーに参加、勉強を重ねた。

 そんな折、バブル経済が崩壊。阪神大震災や身近な知人の死に遭遇し、自らの生き方を考え直すようになった。「給料をもらって働くのもいいけど、自分たちにしかできないことがあるんじゃないか」。震災の翌年、夫と一緒に退職金をつぎ込み、足に優しい靴やインソール、フットケアの店を起業した。

 当初、周囲は「小さい子もいるのに会社を辞めなくても」と否定的だった。中京区のオフィスビル4階に店を構えたが客はほとんどなく、自ら早朝にホテルで、夫は深夜に自動車工場でアルバイトをして収入を補った。店を閉めようとは思わなかった。靴を買ってくれた客が喜ぶ姿に「悩んでいる人は必ずいる。続けなければ」と感じていた。

 その後、ストッキングをはかない生足(なまあし)ブームが到来。足のマッサージや爪の処理を行うフットケアに訪れる人が増えた。さらに健康志向で中高年を中心にウオーキングが広がり、今では顧客登録数が1万人以上を超える。

 07年からは、あらためて足や体について学びたいと、大学に入学。今春からはさらに京都府立医科大大学院に進み、糖尿病や高齢者における足と靴の関係について研究している。「日本では足と靴の関係についての研究が少ない。重要性を発信するためにも、研究を続けていきたい」

さくらい・としみ 短大卒業後、フィットネスクラブ運営会社勤務を経て、96年夫と一緒にフットクリエイト創業。今春に神戸大発達科学部卒。夫と2人暮らし。京都市下京区出身、在住。52歳。店は下京区間之町通上珠数屋町下ル。

【2011年12月18日掲載】