京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > MyウェイMyライフ
インデックス

「小さい」にこだわり起業

洋菓子店「むしやしない」オーナーパティシエ 鵜野友紀子さん
洋菓子店「むしやしない」オーナーパティシエ 鵜野友紀子さん

 叡山電鉄一乗寺駅(京都市左京区)のほど近く。明るい店内に小さめのかわいらしいケーキがショーケースに並ぶ。店のオーナーパティシエとして、「おいしいのは当たり前。感動したり心揺さぶられるものを作りたい」と力を込める。

 菓子職人の道に進んだのは、高校時代にアルバイトしていた創作料理店のオーナーに「いい舌持ってる」と言われたのがきっかけ。

 高校卒業後、電子部品メーカーに就職したが、毎日同じ作業の繰り返しに満足できず、再びアルバイトに戻って料理人として修業を始めた。「月に1度はいいお店でいいものを食べろ」というオーナーに連れられ、さまざまな料理を食べ歩いた。そのうち「満腹になった後で食べる、主食でないデザートはどういう観点で作られてるんだろう」と、フランス料理のデザートに興味を持つようになった。

 店を辞め、兵庫県内の洋菓子店で見習いとして働き始めた。だが、ケーキの大きさが気になった。「好きな人も、小さくしていろんな種類が食べられるほうが幸せでは」

 そんな時、菓子材料メーカーの招待でフランスを訪れ、衝撃を受けた。ケーキが主食の一部に位置づけられ、料理の量に合わせて小さいケーキも売られていた。

 「小さいケーキを作る店がないなら、自分で作ろう」。30歳で独立、現在の場所に店を開いた。店名は、京都で古くから小腹が空いたときに食べるおやつを意味する「虫養い」から付けた。

 オープン当初は、小さなケーキが受け入れられず、経営者として資金繰りに悩む時期もあった。やがて雑誌などに紹介され、百貨店の催事にも声がかかるようになった。1月から東京駅構内の商業エリアに3カ月間出店、2月には大阪・梅田のJR大阪三越伊勢丹のチョコレートイベントにも初出店する。「いずれ料理の店もやりたい。もうけることより、楽しんで生きたい」

うの・ゆきこ 兵庫県尼崎市の高校を卒業後、創作料理店や洋菓子店で料理、菓子作りを修業。2006年10月、京都市左京区一乗寺里ノ西町78に洋菓子店「むしやしない」オープン。伏見区出身、左京区在住。36歳。

【2012年01月15日掲載】