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「樹脂封止」で世界標準

「TOWA京都東事業所」 京都府宇治田原町
金型を研削装置で精密加工する小谷さん。ベテランの技で品質を支える(京都府宇治田原町) [追加訂正] [全文訂正]
 普段、目にする半導体チップは表面が黒い樹脂に覆われていることが多い。この樹脂は封止材といい、半導体チップを損傷や衝撃から保護する役割がある。TOWAは樹脂を封止するモールディング装置で世界シェア40%以上を握る。競争力の源泉は、京都東事業所が作る金型にある。
 TOWAのモールディング装置は、半導体チップがつながった板を上下の金型で挟み、複数の穴から樹脂を注入して封止する。同社が草創期に開発したマルチプランジャという成形方式だ。小西久二所長は「従来方式に比べて品質が高く樹脂の無駄も少ないため、世界の標準技術になっている」と胸を張る。
 半導体チップの用途が広がるにつれ、樹脂封止の金型も少量多品種化が進む。事業所の従業員のほぼ三分の一は金型設計の技術者だ。建物二階は事務机がずらり並び、技術者がCAD(コンピューター利用設計システム)で金型を手際よく設計していく。設計データは一階の加工装置を動かすプログラムになる。
 工程は鋼材の切り出しや焼き入れ、メッキなどを経て、銅電極で放電加工する手順をたどる。放電加工のほとんどは全自動。主役はTOWAが工作機械メーカーと開発した加工装置だ。小西所長は「加工装置の80%がオリジナル。これが当社の強みだ」と明かす。

高付加価値のものづくりを

TOWAが製造している樹脂封止用金型
 手作業の工程もまだまだ残されている。その一つが金型の外郭や表面を加工する研削工程で、従業員自らが図面を手に研削装置を操る。部分ごとに加工した金型を組み合わせる際、ずれが生じないようにするには一千分の二ミリの精度が必要となる。担当の一人である小谷勉さん(66)は京都府の「現代の名工」。定年後も契約社員として現場に立つ。「機械ごとに異なる癖をつかむことが大事。最後に精度を決めるのは目と感覚だ」と極意を語る。
 研削工程は、小谷さんのようなベテランから高卒間もない若手まで多彩な年齢層の約二十人が働く。小西所長は「人の手が不要になることはない。技術を途切れずに継承することが大事」と狙いを説く。人と機械の絶妙の組み合わせが高付加価値のものづくりを支える。
<メモ>  1991年3月開設。敷地面積約3万4000平方メートル、工場延べ床面積約9600平方メートル。従業員約160人。金型は単体でも販売しており、2008年3月期の予想売上高260億円のうち約3分の1を占める見通し。

【2008年5月19日掲載】