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開発から製造まで一貫

「松下電工彦根工場」 彦根市岡町
ロボットによる部品製作で自動化が進む工場内(彦根市岡町)
最近の健康ブームで器具を使ったフィットネスに取り組む人が増えている。ブームに乗って乗馬型のフィットネス機器がヒットした松下電工。疲労を回復するマッサージいすなども堅調で、製造している彦根工場は昨年度は多忙を極めた。
 訪れた時期は新商品の入れ替え時期で比較的落ち着いていたが、商品の入れ替わりが激しい業界ではよくある光景だという。
 彦根工場は電機事業本部のマザー工場だ。製造品は健康器具に加え、シェーバーや電動歯ブラシなど生活に身近な商品が多い。人間の肌に接する器具が多いため、生体の科学も研究し、開発から製造まで全工程を担っている。
 工場で特に重視しているのは製品のコアデバイス(中心部品)だ。シェーバーなら「リニアモーター」、マッサージいすなら「もみ機」、乗馬型フィットネス機なら「エンジン部品」などの中心部品もすべて内製化している。デバイス製造はロボットでほぼ全自動化し、最終段階で従業員が部品のチェックに目を光らせていた。
 小松照明工場長(56)は「大事な部品だけは海外には出せない。製品展開の最速化も重要で、七年前は一年かかっていた新商品開発が、今は六カ月に短縮した」という。

最後は匠の技

彦根工場で製造しているシェーバーの最新機種
コアデバイスができると、従業員が次々と部品を組み立てて完成品に仕上げる。工場ではできる限り最少人数で最終段階まで仕上げるセル生産方式を導入。健康いすの製造ラインでは、従業員がいすの内部にエンジンを組み込む。外側にカバーを覆っていく作業がスムーズに進んでいた。
 製品は完成するまでICカードで徹底したトレーサビリティー(履歴管理)を行う。誰がどんな作業をしたかが把握できるためだ。工場内は機械的で効率的に見えたが、小松工場長は「従業員一人ずつの技術が重要で技術承継のために、技能検定にも力を入れている。やはり最後は匠の技の領域だ」と技術への自信をのぞかせていた。
<メモ>  1962年2月に操業開始。敷地面積約8万1千平方メートル。従業員1161人。電器事業本部に属し、第3工場まである大型工場でシェーバーやマッサージいすなどの高価格帯商品を開発から製造まで一貫して手がける。

【2008年6月16日掲載】