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効率高め 独自の味追求

サントリー京都ビール工場 長岡京市調子
ガラス張りのブルーハウス(仕込み室)。ビールの骨格となる麦汁をつくる(長岡京市調子・サントリー京都ビール工場)
 二〇〇八年上半期(一−六月)のビール類の出荷量で、市場シェアが、サッポロを抜いて初めて第三位となったサントリー。その原動力の一つが、京都ビール工場だ。
 「今春以降、急速に販売が伸び、月末の在庫がどんどん減ってきている。生産が追いつかない状態です」。尾野眞一工場長(50)は苦笑いする。
 同工場が建設された一九六九年以来、西日本の主要生産拠点として、さまざまな製品を送り出してきた。現在も、販売好調の高価格帯ビール「ザ・プレミアム・モルツ」や第三のビール「金麦」をはじめ、同社のほぼすべてのビール、発泡酒などのビール類を製造し、同社の生産量全体の約四割を担う。
 そのため工場では、販売状況のデータをもとに、毎日複数の商品を生産する適時適量生産を採用している。ただ、ビール類は急な増産が難しいのも事実。まず仕込み工程で、大麦を発芽させた麦芽と天然水に、香りや苦みをもったホップを加え、麦汁をつくる。次の発酵工程で、麦汁に酵母を加えて、約一週間かけて低温で発酵させる。さらに貯酒工程では、味をまろやかにするとともに保存性を高めるため、二−三週間かけ低温で熟成させる。その後、おりや酵母をろ過し、缶やびんなどに詰められる。仕込みから出荷までに約一カ月。「全国に生産拠点が少ないため、一カ所の工場でいかに効率よく多量多品種を作るか、試行錯誤しながら、少しずつ技術やノウハウを蓄積してきた」と尾野工場長。

ムダを省いて生産効率を

サントリー京都ビール工場で生産されているビール類
 生産に追われる一方で、現在、課題となっているのが、原材料の上昇だ。世界的な麦価格の高騰で、〇八年上半期は同社のビール事業全体で十五億円のコストアップになった。同工場でも、連続運転の時間を長くしたり、商品の切り替え時間を短縮するなど、生産性向上に取り組んでいる。尾野工場長は「各ジャンルで、サントリー独自の味が出せるようになってきた。今こそ、さらにムダを省いて生産効率を高め、ものづくりの基盤強化につなげたい」と意気込む。
<メモ>  サントリー京都ビール工場 1969年4月開設。敷地面積約10万平方メートル。従業員約150人。生産能力は年間約30万キロリットル。ガラス張りのブルーハウス(仕込み室)があり、昨年度は約11万7000人が工場見学に訪れた。

【2008年8月18日掲載】