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金属材料を一発加工

ニチダイ宇治田原工場 京都府宇治田原町
精密金型に穴を開け、溝をつける工程。仕上げの研磨など要所には人の手が入る(京都府宇治田原町)
 直径五センチ、高さ四センチの円筒形をした金属材料を大型プレス機に入れる。ドーンというごう音とともに一千トンの圧力が加わると、金属材料は中央に穴が開いた幅最大一三センチ、高さ二・五センチの複雑な形状に変化する。たった一度のプレスで自動車の駆動系統に使う重要な部品ができ上がる。受注品目は自動車向けを中心に数千点に及ぶという。
 熱を加えず、切削もしない「ネットシェイプ」と名付けた独自技術で、金属材料を一発加工する。金型に入れた金属材料に強い圧力がかかってもしっかりと固定し続ける特殊装置を使い、プレス時に金属材料を金型の空洞部分に流れ込ませる仕組み。金属に圧力を加えて成形する「鍛造(たんぞう)」の中でも、とくに常温のまま複雑な形状に変える「精密鍛造」を得意とする。
 もともと金型メーカーで、精密鍛造の金型も自社で生産、販売している。金属と触れる内部は超硬合金を少しずつ電気で溶かして形状を整え、鉄製の外枠と組み合わせる。回転させながら溝や穴を開ける作業や先端にダイヤモンド材料をつけた竹棒で研磨する仕上げ工程は手作業になる。力の入れ具合などは熟練工の感覚が頼りで、技術研修にとくに力を入れている。

トータルエンジニアリングが最大の強み

精密鍛造金型による一発加工で成形した自動車部品
 精密鍛造金型の生産は、開発段階から顧客の需要をくみ上げる徹底した技術志向を貫き、国内トップメーカーに上り詰めた。「すべての技術がそろわないと過酷な成形に耐える金型は作れない。トータルエンジニアリングが最大の強み」と、ネットシェイプ事業を統括する西村譲専務は強調する。
 大阪市で一九五九年に創業した。主力工場は大阪府寝屋川市、京田辺市をへて二十年前にこの地に移した。生産施設は四棟あり、金型や鍛造部品だけでなく、不純物を取り除く工業用フィルターや有害物質の排出量を削減するディーゼルエンジン用部品も生産している。急激な景気変調で受注環境は厳しさを増しているが、西村専務は「技術開発にはこれまで通り力を入れたい」と前を見据える。
<メモ>  ニチダイ宇治田原工場 1988年開設。自動車用を中心とする部品の加工や金型、フィルター生産を手がける。従業員は約300人。敷地面積は約12万平方メートル。野球部は社会人の強豪として知られ、工場隣接地に野球場を備える。

【2008年12月22日掲載】