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電力設備の信頼性追求

日新電機本社工場 京都市右京区
組み立てた大型変圧器の性能をチェックする従業員(京都市右京区梅津)
 「バーン」。閃(せん)光と同時に轟(ごう)音が変圧器工場棟の一角に響く。人工雷を発生させる高さ十メートル以上の試験装置で、二千四百キロボルトの高圧電流を製品の変圧器やコンデンサー装置などに落雷させて耐久性を調べる。高電圧試験室の田中武司室長は「雷が落ちても継続使用できるかどうか、電力設備は安定性、信頼性が一番大切です」と力を込める。
 発電所や変電所、工場やビル向けの電力関連設備機器を生産する。事業所内には変圧器やコンデンサー、配電盤などの生産工場七棟が立ち並ぶ。
 電力用の変圧器、コンデンサーは大型装置が多く、背丈を超える大きさに圧倒される。変圧器工場棟では高さ約三メートルに組み立てた変圧器に不具合がないか、従業員が脚立に昇ってチェック。配電盤工場ではロッカーのような扉を開いて配線作業が行われている。変圧器、配電盤の各部品の大部分は協力企業が作っており、ここでは組み立てと検品が主な役割だ。

手作業での品質にこだわり

自社製の22キロボルト受変電設備で本社工場の電力を管理・制御する
 一方、機器の性能を左右する絶縁体は自前の炉を使い、一から手作りする。数種類の合成樹脂を混ぜ合わせたエポキシを金型に入れて一〇〇度以上の熱風で円形や角形に固める。重さ数十−百キロに及ぶ絶縁体を一日約百個生産する。エポキシモールド工場の山口修グループ長は「形状や樹脂素材は当社のノウハウの固まり。手作業でつくって品質にこだわれるのが強み」と胸を張る。
 受変電設備の多くは納入先の施設や仕様に合わせて設計するため、受注から生産、据え付けまで半年から一年かかる。現在は、世界同時不況に入る前の受注分を生産し、フル操業が続いており、〇九年三月期の業績は売上高千百億円と増収増益を予想する。
 だが、今期の受注は前期比一−二割減は避けられない見通しで、四月からは原則として残業ゼロを各職場で徹底するという。「コスト削減とともに受注確保に努めたい」(経営企画部)と、他業界より周回遅れでやって来る不況に備える。
<メモ>  日新電機本社工場 1917年の会社設立後の37年に現在地に開設された。総敷地面積は9万3千平方メートル。従業員約千百人が働いている。敷地内にある体育館は地域の住民たちに開放している。

【2009年3月16日掲載】