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製造自動化、品質改善も

井筒八ッ橋本舗新光悦工場 南丹市園部町
焼き上がった八ッ橋が1枚ずつベルトコンベヤーで運ばれ、金属探知機などを通って出荷される(南丹市園部町)
 ベルトコンベヤーから焼き立ての八ッ橋が次から次に運ばれてくる。ニッキの香りが漂う。三月に完成したばかりの工場は「すでにフル稼働に近い状態」と福島正巳工場長(56)は話す。八ッ橋の生産量は一日二十万枚。それまでの本社工場の二倍の生産能力だ。
 同社は業界で初めて製造工程の自動化を進めた。米粉に湯を入れて蒸し、砂糖、ニッキ、白ゴマを入れて機械でこねる。生地をシート状に薄く伸ばし、全長約十メートルの焼成機から出てくるころには、こんがり茶色に焼き上がっている。短冊状にカットし、くぼんだ形状の型に置いて上から丸い棒を押し当てると見慣れた琴の形になる。
 できあがった八ッ橋は、一枚や三枚ごとに袋詰めされ、計量器や金属探知機を通って最終的に人の手で箱詰めされる。工場内はクリーンルームで、気圧差で外気が入らないようにしている。従業員は粘着式のローラーと風圧で細かいごみを取って中に入る。
 機械化が進んでも、原材料の配合割合は季節や気温によって微妙に変える。焼き上げる温度も細かく調節する。「一見昔と変わらないように見えるが、常に良い製品を求めて進化している」と福島工場長。八ッ橋の厚さもその一つで、高齢者にも食べやすいようにと、十年ほど前に〇・三ミリ薄くして二ミリに、重さも一・一グラム軽い四・四グラムになった。

地域とのつながりを大切に

袋詰めされて製品となった八ッ橋
 工場内の喫茶スペースでは、緑に囲まれた外の景色を眺めながら八ッ橋を食べることができる。二階には茶室、三階にはギャラリースペースを設け、地域の人たちに開放している。近くの京都伝統工芸大学校とも連携し、卒業作品を展示したり、生徒が製作した器を喫茶店で使うなど、地域とのつながりを大切にしている。
 津田純一社長(59)は「園部に工場を建てた一つの理由は、豊かな農産物がこの地にあるから。今後、地元のコメなどを製品に生かしたい」と話した。

<メモ>  井筒八ッ橋本舗新光悦工場 2009年3月開設、4月から本格稼働。3階建て延べ1800平方メートル。工場部分は約1100平方メートルで、京都市右京区の本社工場から移した八ツ橋を専門に製造している。売店や喫茶スペースも併設する。

【2009年5月18日掲載】