京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ルポ京滋ものづくり
インデックス

200以上の工程 手作業で

藤堂製作所滋賀工場 湖南市菩提寺
(上)約800個の部品と200以上の工程が必要なタイングマシンに組み立て作業。熟練の技術が若手に受け継がれている(湖南市菩提寺)
(下)経糸を結ぶタイングマシン。長年の技術を積み重ねて高速化と軽量化を実現した。

 織物メーカー向けに織機に通す経(たて)糸を事前処理する織布準備機械を生産している。機械の設計から部品の製造、組み立て、調整まで手掛け、繊維関連の設備投資が伸びている中国、インド向けを中心に、製品の9割近くを海外に輸出している。
 主力製品のタイングマシンは、織機の稼働時に経糸が足りなくなった際、連続して布を織るために新しい糸を結ぶ機械だ。滋賀工場で生産するタイングマシンは世界トップクラスの毎分600本の糸を結ぶことが可能。モーターで回転させた軸に取り付けた約10枚の円盤(カム)が、盤上に掘られた溝に沿ってさまざまな回転をしてレバーを動かし、糸をより分けて1本ずつ巻き付けて結び、余分な糸を切るまで一連の作業を行う。
 製造担当者は800個に上る部品をすべて手作業で組み立てている。膨大な数の部品と200以上もある工程を正確にこなすために熟練作業員でも1台の完成に100時間を要するという。
 同じ種類のカムでも溝の形に極わずかのばらつきがある。高速で回転するカムと、レバーに動きを伝えるローラーに摩擦が大きいと、発熱して部品が劣化してしまう。作業員は、カム周辺の機械心臓部を組み立てる際、五感を駆使して摩擦の度合いを慎重に確認しながら、10マイクロメートル単位で形状差があるローラーの中からそれぞれのカムに合う一つを選ぶ。
 奥野幸一郎工場長(63)は「精巧な時計を作る仕事をイメージしてもらうと分かりやすい。織布準備機械は一般消費者の目に触れる機会は少ないが、製織の効率を上げ、省力化につなげる、重要な役割を果たしている」と話す。
 タイングマシン製造で培った技術を応用して、1982年からIC(集積回路)を高速で電子基板に実装するIC自動挿入抜取機など半導体分野に進出。もう一つの主力事業に拡大している。いずれも従業員の手作業によって支えられており、工場内では日々、ベテランが若手に技術を伝える姿が見られる。

<メモ>  藤堂製作所滋賀工場 1965年開設。約10万平方メートルの敷地内に工場棟や研究棟、事務所棟など11棟があり、織布準備機械や半導体関連の自動機器、ロール状重量物を運ぶ搬送機械を生産している。本社は京都市下京区。

【2010年1月11日掲載】