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繊細な味、香り求め研究

丹波ワイン醸造所 京丹波町豊田
(上)ベルトコンベヤーで運ばれてきたボトルにワインを注入するびん詰めライン。コルク栓打ちや目視検査、ラベル張りなどの工程へと続く(京都府京丹波町豊田・丹波ワインの醸造所)
(下)貯蔵庫で熟成され、「ワインハウス」内の店頭に並ぶワイン

 1時間に300本のペースでワインを手際良くボトルに注入していく。「量産する商品は全自動の高速機を使い、少量品は半分手作業です」と片山敏一工場長。コルク栓を打って目視検査をした後、出荷商品はそのままラベル張り機へ流されるが、目の前で瓶詰めされたワインは大型ケースに収納された。2008年に仕込まれたワインを「瓶でさらに半年以上寝かせてから発売する」という。
 仕込みの最盛期はブドウを収穫する8〜10月で、貯蔵と熟成が中心の冬場の工場内は落ち着いた雰囲気だ。発酵中のワインが入ったタンクが並び、甘酸っぱく濃厚な果汁の香りが漂っている。
 原料のブドウは、山梨県などの主産地品のほか、4ヘクタール弱の自家農園で栽培している。丹波地域の生産農家からも仕入れる。白ワイン用は破砕機にかけた後、圧搾機で果汁を搾り出し、酵母を加えて発酵させる。赤ワイン用は色素を抽出するためブドウをタンクに貯蔵して発酵させた後、果皮や種を取り除いて再び発酵処理する。発酵を終えたワインの原酒は、ろ過してタンクやたるで1〜3年貯蔵する。
 同じブドウを使っても甘く軽いものから、どっしりした深みがあるものまで味わいはさまざま。醸造を担当して15年という内貴麻里さん(40)は「発酵管理や後処理など、ブドウ本来の味を出すためにワインごとに最良の選択をしないと」と研究を重ねる。味や香りの繊細な表現を追求するプロのこだわりだ。
 同社では現在、約30種類のワインを造っている。年間醸造量はワインブームにわいた98年度の約80万本(720ミリリットルびん換算)をピークに減って現状は約50万本。繊細で上品な「京都の食材に合うワイン造り」の理念は創業時から変わらない。地元産ブドウの割合を増やすため、農園を拡大する計画で、片山工場長は「土地に根付いたワインの味わいを広めたい」と力を込める。

<メモ>  丹波ワイン醸造所 1979年設立、延べ900平方メートル。81年に販売開始した。見学は土日祝日が午前11時〜午後4時の毎時ごと、平日は午前11時と午後2時の2回。レストランやバーが入る「ワインハウス」も併設する。木曜定休。

【2010年2月15日掲載】