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デジタル処理 表現豊か

堀忠染織 京都市右京区
自動スクリーン捺染機でプリントされる服地。今夏の商品用としてアパレルメーカーに納品される(京都市右京区)

 「ガターン、ガターン」。本社工場に自動スクリーン機の音が響く。全長20メートル以上ある大型機のベルト上に型枠が固定され、その下を順に通る布地に1色ずつ色柄がプリントされる。スキージと呼ばれる大きなヘラが染料を出しながら自動で動き、刷り込む捺染(なっせん)方法だ。「自動といっても型の部分に流すのりが切れていないか、ごみが付着していないかなどは目視が必要」と、作業を見守りながら堀田忠雄社長は話す。
 染め上がった布地は乾燥機にかけた後、生地を蒸したり、表面加工するなどの外注工程を経て服地となる。捺染までの準備工程では、図柄や生地の素材、商品イメージなど顧客の注文を考慮して最適の配色が決まるまでに1カ月以上をかけるケースもある。「微妙な色の濃淡をどう出すか。染料の調合は染工場の技術力が問われる」という。
 創業者の堀田社長が1964年に会社を設立。京都・室町の商社やアパレル大手などからの注文を受け、婦人用服地の染色加工を手掛ける。70年代以降の需要増大を受け、オートスクリーンやロータリー捺染機などの設備を積極的に導入。量産体制をいち早く整えた。
 90年代に入ると、ファッションの多様化に伴う多品種小ロットの進行やバブル崩壊で、事業環境は変わった。中国をはじめアジアからの安価な輸入品が流入し、加工数量は落ち込んだ。
 そこで、少量多品種や納期短縮に柔軟に対応するため、10年前にインクジェットプリンターを導入した。手描きした図案を型に起こさず、デザインから製版、捺染までをパソコンでデジタル処理できる。堀田社長は「色のグラデーションや素材の立体感も豊かに表現できる」とPRする。
 輸入品にはない高付加価値製品の生産が求められる中、スカーフや紳士向け高級服地、インテリア製品などへ用途開発を模索。現在1割程度の自社ブランド比率の拡大を目指しており、「新しいことに挑戦し続け、『京プリント』伝統の技術を守りたい」。

メモ

インクジェットプリンターで染めたシルクなどのスカーフ
 堀忠染織 1964年設立。従業員20人。工場は延べ1170平方メートル。婦人服地を中心に、年間約2万反を染色加工。受注加工のほか、自社製品の販売も手がける。

【2010年5月10日掲載】