京都新聞TOP > 経済特集アーカイブ > ルポ京滋ものづくり
インデックス

日本向けに錠剤小型化

バイエル薬品滋賀工場 甲賀市甲賀町
錠剤に成型しやすいよう、原料を大型タンクの中でさらさらの粒にする。製造ラインはすべてクリーンルームで、衛生管理が徹底されている(甲賀市甲賀町鳥居野)

 滋賀工場は日本の製造拠点で、国内で流通する54製品のうち24製品を作っている。高血圧・狭心症や高リン血症などの治療薬、抗がん剤が主力で、ドイツ本国などから仕入れた原料から錠剤やカプセルに加工する。
   防じん服やマスクを身に付け、「アダラートCR錠」(商品名)の製造現場に入った。血管を拡張し、心筋への血流をよくして、血圧をコントロールしたり心臓発作を防ぐ働きがある。薬物治療を受けている高血圧患者の9人に1人が服用しているといい、2009年度に374億円を売り上げた看板商品だ。
   「海外市場では錠剤サイズが直径9ミリ以上あるが、飲みやすさが求められる日本では7ミリまで小型化している」。片山博仁プロダクトサプライジャパン本部長は、販売拡大の成否を握る繊細な製剤技術を強調する。
   各工程は個室に分かれており、いずれもコンピューターで管理されている。自動計量された原料はパイプを通って大型タンクに送られ、顆粒になる。別のタンクで添加剤が加えられると、均質になるようぐるぐるとかき混ぜられた。
   別室では顆粒を圧縮成型する装置が、1時間当たり8万錠もの速さで動く。体内で決まった時間に有効成分が2段階で溶け出すよう、外核と内核の2層構造になっている。内核の錠剤が中心部に収まっているか、センサー付きカメラが0・1ミリ単位でずれを検出しており、「全数検査で万全の品質を追求している」と担当者は胸を張る。
   割れや欠けを検査する機械を通った後は、アルミフィルムなどで包装され箱詰めされる。工場は、2交代制で午前6時から午後11時半まで稼働している。
   工程管理を含めた技術革新だけでなく、中国・北京工場へクリーム剤の包装ラインを移管するなど、グループへの技術移転にも積極的だ。環境対策では、10年度中に使用燃料を天然ガスに切り替え、二酸化炭素の排出を前年度比11%削減する。

メモ

飲みやすい小型の錠剤で、1日1回の服用で効果を持続させる高血圧・狭心症の治療薬
 バイエル薬品滋賀工場 独・バイエルの日本の製造拠点として、1979年操業開始。錠剤を中心にカプセル剤や注射剤などを生産。敷地面積11万6千平方メートル。従業員数は322人。

【2010年7月19日掲載】