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液晶開発と生産の拠点

三菱電機京都製作所 長岡京市馬場
液晶テレビを組み立てる従業員たち。液晶パネルを卓上台車に乗せ、約20メートルのラインで十数人が電子基板や部品を取り付けて完成する(長岡京市馬場・三菱電機京都製作所)

 U字を描く長テーブルに沿った約20メートルの液晶テレビ生産ライン。液晶パネルを載せた卓上台車が上を滑り、十数人の従業員が板金や電子基板、ハードディスクドライブなどを手作業で取り付け、見る間に組み立てが完成する。家電から重電、人工衛星まで幅広い製品を扱う三菱電機。京都製作所では映像機器の生産と開発を一手に担う。
 「これまで体験したことのない数の液晶テレビを生産している」。京都製作所の山根利司製造管理部長は右肩上がりの市場に驚く。テレビの地上デジタル放送移行に伴う買い替え特需で、2009年度の液晶テレビ生産は前年度の2・3倍に膨らんだ。
 04年度に液晶テレビに参入した後発メーカー。主要メーカーとの違いを出すため、ブルーレイディスク、ハードディスクの両録画機能を内蔵する業界初の一体型液晶テレビを昨秋発売し、好評を得ている。
 もう一つの主力製品は、投影方式の画面を複数組み合わせた業務用マルチビジョン。電力制御モニターや交通管制モニターなどに使われる数メートル規模のサイズの画面で、世界シェアは2位だ。山根部長は「インフラ工事が増える中国など新興国で需要が伸びている」。つなぎ目を自然に見せる色調や輝度の調整に高い技術が求められ、生産も流れ作業ではなく熟練社員が反射鏡の調整などに気を配りながら丁寧に作る。
 映像機器メーカーとしてはブランド力不足に悩んでいる。このため4年前から、販売店や代理店を招いた内覧会「おこしやすキャンペーン」を京都製作所で年数回開き、PRに努めている。鳴海真AV営業統轄部長は「映像機器は『見て』『聞いて』が重要。他社製品と見比べてもらっている」と機能に自信を示す。液晶テレビには生産地「京都」を記し、イメージ向上も図っている。
 液晶テレビ市場の課題は地デジ化やエコポイントの特需後の対応。阿部正治京都製作所長は「テレビ需要は半減を覚悟している。録画一体型テレビを鍵に需要減のダメージを最小限に食い止める」。10月には3Dテレビの録画一体型を投入し、シェア拡大を狙う。

メモ

京都製作所で生産するマルチビジョン。67型画面が24面組み合わせられ、海外の防災監視施設で使われている
 三菱電機京都製作所 1962年、テレビ部品工場として発足。液晶テレビなど民生AV機器やマルチビジョンなどの業務用映像機器の生産拠点で、開発部門も同居する。敷地面積16万2千平方メートル。従業員数は約2千人。

【2010年9月20日掲載】