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省エネ支えるねじ開発

日東精工八田工場 綾部市下八田町
次々と形成される小型ねじ。従業員は拡大鏡を使い、不良の有無を点検していく

 金属棒の片側に加圧してねじ頭部を作り出す機械や、らせん状に溝入れする機械が整然と並ぶ。機械音が響き、油のにおいが漂う中、形が整った状態で機械から次々と出てくる直径1・7ミリのねじを従業員がつまみ上げ、拡大鏡でのぞき込む。
 「従業員は2時間に1回ぐらいの割合で機械を回り、ねじ山の出来具合やねじ山同士のピッチ(間隔)をチェックします」と、ファスナー事業部の村上正一副事業部長が説明する。
 日東精工の売上高のうち、ねじは70%を占める主要製品。成形をはじめ、ねじを硬くする熱処理、耐食性を高めるメッキ処理まで一貫して行う。ねじ締め機、締め付ける力など測定して記録する機器も手掛けており、材木正己常務は「トータルな品質を保証している」と胸を張る。
 八田工場は、ねじの売り上げのうち70%を稼ぐ主力工場で、生産量は全体の90%、年間100億本を超すという。コスト削減と省力化を目指し、生産設備や工具も内製化している。
 生産するねじは「縁の下の力持ち」(上原規ファスナー事業部企画管理課長)として、自動車やテレビ、パソコン、携帯電話、カメラなどを支える。大きさは直径0・6〜12ミリ。種類は金型のストック、図面データ、出荷待ちの製品を含めると5万種に及ぶ。
 多様なねじに対応するだけでなく、需要が高まっている環境配慮型の製品開発にも力を入れている。2003年には、有害物質の六価クロムを表面処理に使わない黒色ねじを国内で初めて量産化した。また、同年に発売した「CPグリップ」は、締める際に拡散する切り粉をねじ先の粘液に付着させるねじで、顧客の作業工程を減らして省エネ・省資源を支える。
 08年には、アルミ製ねじを発売した。軽量化やリサイクル効率の向上という要求にこたえたが、量産化や価格面で市場と折り合わない面もあった。新しい表面処理技術の開発で今年10月には量産化に成功、価格も当初比約50%に抑えた。
 顧客からは美観も求められる。ねじ頭部を平らにして締め付け部分との凹凸をなくしたり、ドライバーの差し込み穴を花びら形などにすることもある。市場の要求が変化する中、材木常務は「客のニーズをしっかりつかみ、解決していく」と話す。

メモ

量産化に成功したアルミ製ねじ「エスタルファ」。比重が鉄の3分の1という特長を生かし、自動車業界などへの販売を見込む
 日東精工八田工場 1982年に稼働を開始した。海外に5カ所ある生産拠点の基幹工場で、新製品開発や効率的な生産方法の確立も担う。敷地面積は約7万8200平方メートル。従業員は約190人。

【2010年11月8日掲載】