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目薬の命 安全な水重視

参天製薬滋賀工場 滋賀県多賀町
無菌室で溶液を詰めた後、ラベルを張り、箱詰めする工程

 医療用目薬の専用工場として、多様な有効成分特性に応じた製造ラインを持つ。目薬には極めて低濃度の製品や、水に溶けにくい成分を含むものなどがあり、点眼薬メーカーとして長年の技術を駆使して製造している。
 主力製品の角膜疾患治療剤「ヒアレイン」をはじめ、合成抗菌点眼剤「クラビット」、抗炎症点眼剤「フルメトロン」など15種類程度を製造する。フルメトロンは、水に溶けにくい成分を含むため、水と混ぜる調剤タンクで常にかき回し、均一に成分を分散させる。国内3拠点のうち、滋賀だけで製造している。
 調剤タンクは1800リットルほどの大きさだが、その後貯蔵タンクを経て、溶液が充填(じゅうてん)されるのはわずか5ミリリットル入りのボトル。有効成分含有量を0・0015%に抑えた製品もあり、少量のボトルに均等に成分を含む技術も求められる。
 「人が一番の汚染源」という考え方に立ち、製造ラインは必要最小限の人員で運営する。工程ごとに従業員に試験を課し、合格者だけがラインに立つ徹底ぶりだ。
 目薬にとって大切なものは水。目に直接入るため、同社では精製工程を重視している。イオン除去、蒸留などをし、注射剤にも使用できる無菌性の高い水にする。検査は毎日。「水に一番お金をかけているかもしれません」と竹谷浩一工場長は話す。供給源は琵琶湖に求めている。
 製造後、2週間かけて無菌試験などをして、ようやく出荷に至る。生産物流本部の太田淳稔本部長は「使ってみてどうか、ではすまされない。製品を切らさず、作り続けることが使命」と話す。製品は国内をはじめ、アジアや欧州に輸出される。
 国内医療用眼科薬市場で同社のシェアは約4割とトップ。2012年度末をめどに、大阪工場(大阪市)の生産機能を滋賀工場に集約させる方針で、太田本部長は「グローバルな生産中核拠点としたい」と力を込めた。

メモ

滋賀工場で製造している主力製品の角膜疾患治療剤「ヒアレイン」や緑内障治療剤「タプロス」
 参天製薬滋賀工場 1996年操業。延べ面積は約1万8千平方メートル。従業員数は約130人。生産規模は国内では能登工場(石川県)に次ぐ。敷地内には重度障害者を雇用するため97年に設立した子会社「クレール」がある。現在、知的障害者20人が参天製薬や滋賀県内の電子部品工場の無菌服のクリーニングなどをしている。

【2010年12月20日掲載】