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エコ醸造棟で見学・試飲

キリンビール滋賀工場 滋賀県多賀町
麦汁を作る巨大な釜が並ぶ仕込み室。発酵前の麦汁を試飲することもできる

 「一番搾り生」「淡麗生」など、ビールと発泡酒、ノンアルコールビールを11品種製造し、年間生産量は15万キロリットルに上る。キリンビールの全国9工場のうち、黒ビールの「一番搾りスタウト」を唯一製造する多品種生産の体制を採り、主に近畿地方と北陸に出荷している。
 新醸造棟が昨春に稼働し、温室効果ガスの排出量や水の使用量が大幅に減った。新醸造棟には楽しみながら製造工程を学べる見学コースを設けている。
 見学者は原料を実際に手に取り、二条大麦から作る麦芽やホップの香りをかぐことができる。滋賀工場の製品はすべて琵琶湖の水を原料にしており、林義和総務担当部長は「水源の森づくり運動をはじめ環境保全活動に力を入れている」と話す。
 続いて麦汁を作る仕込み室へ。目の前に並ぶ巨大な釜に圧倒される。釜の中では、砕いた麦芽を湯に溶かしてでんぷん質を糖分に分解する。この過程でできたもろみをろ過機に通し、ホップを加えて煮沸する。ろ過機に通す際に最初に流れ出るのが一番搾り麦汁だ。麦汁を試飲すると、甘みと苦みが合わさった独特の味が口の中に広がった。
 麦汁は酵母を加えて発酵させ、糖分をアルコールと炭酸ガスに分解。こうして出来た若いビールをタンクで低温貯蔵して熟成させ、調和のとれた風味と香りを引き出していく。酵母やタンパク質を取り除けば、琥珀(こはく)色のビールの完成だ。
 缶詰め工程は大型スクリーンで紹介している。350ミリリットル缶で毎分2千缶注入できる缶詰め機を導入しており、缶を高速移動しながら液体を詰めてふたをし、底に製造時期を印字する作業を大画面で見られる。
 見学が終われば、待望の試飲だ。滋賀工場は試飲用に「一番搾り生」など3種類の生ビールを用意している。
 東日本大震災の影響で一部商品の生産量が落ちたが、夏の最盛期を前に、大型連休以降は工場フル稼働で増産態勢に入る。林担当部長は「おいしいビールをお客さまに届けて日本を元気にしたい」と話している。

メモ

見学コースでは麦芽やホップを実際に手に取りながら、映像を使った解説を聞くことができる
 キリンビール滋賀工場 1974年創業。面積は36万8千平方メートルで、従業員約300人。見学者数は年間2万人を超える。見学は無料で、約70分間(試飲時間を含む)。日・月曜は休み。見学予約はTEL0749(48)2810。

【2011年5月9日掲載】